昨日(14日)は学芸大学「Cherokee LIVE TAVERN」で桂伸三と春風亭朝之助出演の「チェロキー寄席」を聞いてきた。演目は下記の通り。
春風亭朝之助 『牛ほめ』
桂伸三 『蒟蒻問答』
〜 仲入り 〜
桂伸三 『続・寿限無』
春風亭朝之助 『黄金餅』
チェロキー寄席の発起人は入船亭扇辰師匠だが、今回出演の二人は師匠の大学の後輩。師匠を含めて3人とも落研出身。その落研の教えには「プロにはならない」「落研内恋愛は禁止」というのがあるそうだが、春風亭朝之助はどちらも破ったとのこと。もちろん真偽のほどは落語家なので分からない。w
1席目は「牛ほめ」。与太郎噺でもっとも有名なお話。与太郎が伯父の佐兵衛の新築の家を褒めに行くが、そこで珍問答が繰り広げられる。春風亭朝之助にとっておそらく演じ慣れた演目なのだろう、淀みもなく得意の江戸弁も快活で聞いていて気持ちいい。
2席目は「蒟蒻問答」。ニセ坊主が住職の寺に諸国行脚中の永平寺の禅僧がやってきて、これまたニセ大僧侶に扮した蒟蒻屋の六兵衛との間で無言問答を行うというお話。桂伸三はこれまでチェロキー寄席で2回聞いているが、本当に上手くなっている。二ツ目にして正統派落語家としての品格というか厚みを身につけている。こんなに上手くなっているのだから、もっと注目されるべきだよなあ、と仲入りの時に彼の名前をネット検索したら、なんと3日前の11日に行われた第17回さがみはら若手落語家選手権で優勝しているではないか。そんなことをマクラでは何も言わないとは。言っていればご祝儀でもあげたのに。w
3席目は「続・寿限無」。話は寿限無が外国人(スペイン)の女性と結婚して子供を設けるという話だが、この相手の女性の名前も、子供につけようとする名前も寿限無同様に長い長い名前。それゆえに桂伸三は「蒟蒻問答」とはうって変わって、品格のカケラもなくただただ早口に喋りまくる。落語会ならではのこのギャップがいい。抱腹絶倒とはまではいかないが、本題である「寿限無」より面白い。この噺は伸三の創作のようである。お見事。
4席目は「黄金餅」。かなり難しい落語である。死体の胃の中に入っている2分金や1分金を取り出すために焼場で、腹だけは生焼けにしてくれと言い、見事に金をせしめるという話。ある意味悲惨でもあり、ある意味滑稽でもある。それゆえに、どちらにウエイトを置いて話せばいいのかで味わいが変わるような気がする。その意味において春風亭朝之助はどっちつかずで迷いがある。しかし、これから何度も噺をするうちに解決はするだろう。今後の健闘を祈る。それにしても、下谷山崎町の長屋を出て、麻布のお寺まで辿り着く道順の口上は鮮やかであった。
さて、次回(4月11日)のチェロキー寄席は入船亭小辰と入舟辰之助の「扇辰弟子の会」(豪華ゲストあり)。お時間のある方は是非とも足を運んでみてください。