正月2日、3日にわたって行われた箱根駅伝は、東洋大学が往路で初優勝、復路も制して総合でも初優勝を飾った。東洋大は昨年12月に、部員が通学途中の電車内で女子高生の体を触ったとして強制わいせつ容疑で逮捕され、出場もあやぶまれていたが、往路5区(箱根の山登り)で1年生の柏原竜二が驚異的な快走をして、東洋大を初優勝に導いた。
この箱根駅伝を私も結構テレビ観戦していた(瀬古利彦の早稲田ベッタリ解説には呆れた)が、観れば観るほどこの箱根駅伝がおかしいと思わざるをえなかった。
箱根駅伝の正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝」という。しかし、出場できる大学は関東学生陸上競技連盟に加盟している大学だけで、関西や東北などの大学は出場できない。つまり、この駅伝は「大学駅伝」と名はつくものの実態は「関東大学駅伝」というローカルな大会でしかないのである。
そんなローカルな駅伝を日本テレビは局の総力を賭けて製作、全国放送している。このことによって、結果的に地方の長距離競走の有力な人材が関東の大学に集中してしまった。これは、いくら結果論といえども、地方大学の軽視以外の何ものもでもない。そして、関東の私立大学のなかには、正月最大の大学スポーツイベントを利用して、自校の名を上げようとする大学が相ついだ。
駅伝はもともとはトラックでの長距離競技の延長線上にあったものだったと言われている。それが、今では本末転倒してしまい、駅伝重視でトラック競技軽視になってしまっている大学も少なくないという。これはトラック競技よりも駅伝(マラソンも)の方が世間的な興味が高く、テレビでの視聴率が高いという弊害からきている。
このように、矛盾が多い「箱根駅伝」はやはり改革をする必要性があるのではないだろうか。外国人(留学生)枠があるように、関東以外の他地区大学枠を設けてみてはどうだろうか。そうすれば、関西の雄である立命館大学なども出場できる。ただこうすると、また全国の大学で長距離の有望選手の取り合いになり、売名行為的大学がでてくる可能性があるが・・・。
ただし、こうした改革を行う可能性は残念ながら少ないだろう。というのも、矛盾だらけの最大の背景には、箱根駅伝の主催である関東学生陸上競技連盟と、他地区の学生陸上競技連盟、加えて日本学生陸上競技連合を含めた確執、利権&覇権争いがあるからである。
「箱根駅伝」は学生スポーツのイビツさを象徴しているような大会である。