このハガキは1945年(昭和20年)6月に沖縄で軍医として戦死した伯父(小松三郎)から私の父親(小松四郎)宛に送られたものである。軍事郵便ゆえかどうか知らないが、検閲印はあるものの消印はない。ただし、文面からして1944年(昭和19年)10月27日に書かれたものと思われる。
「その後お元気ですか。ここは大陸のような地続きと違うので、内地や御地からの便りも月に一回位で、昨日は十月廿六日で僕の誕生日でしたが、東京の新聞は未だに八月廿日頃の見ている始末です。電気もない田舎なのでラヂオも聞けず、地方新聞が唯一のニュース。娯楽とても私が大陸から持参の三十枚位の洋楽レコードは大もてです。ここにも郷土色豊かなお国振りの踊り多く、先年日劇レビューに上演された「八重山群島」も近くなので、ときどきよい慰問となります。南方独特の手振り足振りの面白いものです。そちらは寒いでせうが、こちらはまだ夏シャツ一枚です。」
父親はこの沖縄から満州に送られたハガキを大事に保存して、終戦から1年後に大陸から日本へ帰ってきた。そのとき、このハガキが伯父の形見となると解っていたかどうか、私は知らない・・・。
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