土曜日, 12月 29, 2012
美食日記「コートドール」(白金高輪)
地下鉄南北線白金高輪駅から歩いて10分。古川橋交差点近くの高級マンションの1階にある「コートドール」。オープンは1986年というからすでに四半世紀以上になるので、老舗といってもいいかもしれないフランス料理店である。
店内はマンションの庭が見えるようなガラス張りの造りになっていて、テーブル間もゆとりがあり良質な空間を醸し出している。照明は陰影がはっきりしていて、ちょっと写真を取るにはつらいが、料理の雰囲気をさらに味付けするようなコントラストな演出がなされている。
さて、この日はシェフのおまかせコースのみで、メニューは下記のような感じであった。
・桜海老のブルスケッタ
・鰆の燻製と紅芯大根(友人は季節野菜のコリアンダー)
・エイヒレとキャベツの蒸し煮(写真上)
・エゾシカのワイン煮込み(写真下)
・いちごのデザート
・ココナッツのブランマンジェ
・コーヒー(or 紅茶)とお菓子
オードブルで違った料理を出すというのはちょっと珍しいが、これだとどんなカップルもしくはペアでも、コミュニケーションのためにシェアをするだろうから、ちょっとした心憎い気配りである。
「エイヒレとキャベツの蒸し煮」はシェフ(斉須政雄)がフランス修行時代からこだわり続けている一品だそうで、このお店ならではスペシャリテ。柔らかく仕上げたエイヒレの下にキャベツ、そして、トッピングされたネギをバターとお酢の入ったソースに混ぜり合わせて食べる。看板メニューということもあるが、食した瞬間に、思わずちょっと下品だが鼻歌まじりに身体がスイングしまうほどの美味しさだった。
「エゾシカのワイン煮込み」はシカというよりもうウシの領域に到達しているような煮込み方で、これを「北海道牛のワイン煮込み」と言われて出されても分からないほど、シカ特有の臭みや匂いはまったくなく、ボリュームもあり肉を食するという醍醐味を堪能させてくれる。そして、これに添えて出てきたマッシュボテトには刻みリンゴとパセリが入っていて、これが煮込みの味の強さをうまく和らげていて絶妙だった。
全体としてその味はオーソドックスなフランス料理の王道を歩むというより、うちの店は単なる老舗料理店ではないぞ、というシェフの確固たる気骨さを悟らされるような思いがした。フランス料理は奥が深い。感服。
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