火曜日, 3月 04, 2014

新作落語の名人たち

一昨々日(3月1日)渋谷区文化総合センター大和田で開かれた毎日新聞落語会「渋谷に福来る」円丈ゲノムvol.3を聞いてきた。出演者と演目は下記の通り。新作落語の名人3人が登場ということもありチケットは完売。

おしゃべり 喬太郎、昇太 + 円丈
柳家喬太郎 『純情日記 横浜編』
春風亭昇太 『空に願いを』
 〜 仲入り 〜
三遊亭円丈 『夢一夜』

開演前に残念なことに前方客席でトラブル。何があったか知らないが客席で大声を上げるのは酔狂というか野暮というもの。こうしたことはライブ会場でたまにあるが、そのほとんどは自己主張というか我が強いオタク系と年配の客の間に起きるみたいだ。嘆かわしい限りである。世間の殺伐とした風潮がこんなところにも来ているかと思うのは少し考え過ぎだろうか。こんなこともあってか冒頭の「おしゃべり」で昇太師匠と喬太郎師匠は何気に「けんかはダメよ」とうまく言聞かせる。これには場内拍手喝采。

さて、今回の出演者は新作落語の名手たち。学生落語験者である昇太と喬太郎は円丈師匠の新作を聞かなかったら、落語を続けなかったと円丈を持ち上げる。しかし、2人は師匠に弟子入りすることなく昇太は春風亭柳昇師匠に、喬太郎は柳家さん喬師匠に弟子入りする。そして、共に古典落語をみっちり勉強した上で新作落語の道を歩み始める。円丈にしても師匠は三遊亭円生であるから、新作落語の名人たちの基礎はやはり古典にありなのであろう。

トップバッターは喬太郎。地元横浜を題材にした80年代の話。八つぁん熊さん的な掛け合いや、道中巡りを入れるなど古典落語を現代風にアレンジしていて、しっかりと聞かせる。特に道中巡りに出てくる横浜の地名は個人的にも親しみがあり楽しい。また恋物語の表現も80年代の胸キュンドラマのようで、これまた懐かしくもあり楽しかった。

春風亭昇太の『空に願いを』は雨乞いの話なのだが、冒頭のおしゃべりで昇太が学生時代に作った『二号館食堂の戦い』という話を喬太郎にふられて、なぜか上機嫌。それゆえにマクラでもその二号館食堂にまつわる話を思い出すかのように噺しながら本題の『空に願いを』に入る。これは雨乞いを司っていた雨宮家の末裔の小学生とおじいちゃんの物語なのだが、その構成というか話の絡みあいが奇天烈でおかしい。これまで聞いた昇太の話のなかでは一番面白かった。

仲入り後に円丈が登場。こちらは2人の若手(といっても共に50代)に比べてキレや勢いが衰えていたのが少々残念。ただ、今後も新作落語の雄として頑張ってもらいたい。

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