食べログ「東京ベストレストラン2013」で3位に入った「レフェルヴェソンス」。フレンチでは並みいる老舗店を上回り最高位を獲得。いまや東京を代表するフランス料理店といっても過言ではない。斬新かつ意欲的な料理、繊細かつ洗練されたサービス、開放感に満ちたゆとりの空間、そして、程よい緊張感とフレンドリーを併せ持った時間の演出と、何もかもが一流を目指しているんだという気概が伝わってくるお店である。
さて、この日のメニューは下記の通り。
・2種類のグリーンオリーブ
・桜鯛、桜海老、新玉葱、新わかめを2口で(写真左下)
・アップルパイ#14〜
新牛蒡、砂肝、ローズマリーを3口で
・はじまり〜(写真右下)
蛍烏賊とウド、ホンダワラ、
塩漬けのレモンのエミュルション、本わさび、紀州梅の泡
・定点〜
丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション、
バスク黒豚のジャンポンセック&ブリオッシュ
・春風〜
やわらかく焼き上げた石鯛と菜の花、大浅蜊、唐墨、山椒の葉とオイル
・勇気〜
フォアグラのナチュラル、クリンピースとフロマージュブラン“クワルク”
バナナの燻製&キャラメリゼのエクラゼとミントオイル、瑠璃萵苣(ルリンチャ)
・右と左で〜
金宣烏龍茶
・新緑〜(写真左下)
岩手白金豚ロース肉を薪で焼いて、
ふきのとうのピュレと甘酸っぱい肉のジュ、山菜たちと黒オリーブ
・厳選チーズ あるいは 時季のお野菜(写真右下)
・やわらかい陽のような〜
ルバーブのコンフィととちおとめ、ニワトコの花香るビールのジュレ
アールグレイアイスクリーム、ショートブレッドと溶け合うカスタードのヴェール
・大麦若葉のアイスクリーム
・カフェ・紅茶 ミニャルディーズ
最初は4個のオリーブ(1人につき2個)が一皿だけで登場。見ためでは解らないが2種類の味付けが施されている。1種はいわゆるナチュラルテイストで、1種はブラッドオレンジのテイスト。客がどちらかを選ぶかを楽しむようにしている。ただし、鼻が鋭い人なら嗅ぎ分けられてしまうかも。2品目は変わったオードブルの組み合わせとでも言おうか。泡に隠れて見えないがグラスのなかには桜鯛、桜海老、新玉葱、新わかめが入っている。それを口のなかに入れるとそれぞれが思いっきり主張しあう。味覚と共に触覚を楽しむという嗜好。そして3品目は何処かのファーストフード店でも売られているようなアップルパイ。だが、中身は贅沢なシロモノ。今回はバーション14だった。
ここまでがシェフの遊び心の表れで、本題はこれからである。
「はじまり〜」は螢烏賊。今年は螢烏賊の当たり年のようで、スーパーでも大きくて身が締まっているものが売られているが、ここではほんのり湯立てて、透明さを残しつつ、梅泡で食べるというお洒落感覚である。思わず日本酒が飲みたいなと思ってしまう。「定点〜」はスペシャリテの蕪料理。60度で4時間かけて調理したもで、繊維質を残しながらもほんのり甘みのある味わいを出す逸品。日本一の蕪料理といっても過言ではないだろう。「春風〜」はふんわり焼き上げられた石鯛。これもおそらく低温調理なのかと思うが、魚の身がふっくらと焼き上げられる技術に感歎。加えて、添えられた浅蜊、唐墨、山椒の香りはどことなく弦楽四重奏のハーモニーを彷彿させるような優雅さだ。「勇気〜」はフォアグラの料理。これは五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)のハーモニーが美味しく、今度は木管五重奏を味わったような気分である。ブラボー!
「金宣烏龍茶」はちょっとした休憩タイム。1つのカップで2つの金宣烏龍茶の味わいを楽しむ。カップの半分が冷たいジュレ状で、もう半分は温かい状態になっている。すでにビール2杯、ワインを1本近く飲んでいる私にとってナイスなタイミングである。
続いて後半の始まりである。「深緑〜」は豚のロース肉を薪で焼いたもの。肉というものはどうして炭や薪で焼くと美味くなるのだろうか。この肉も鮮やかなピンク色に輝き、脂身の旨さが凝縮され、ちょっと形容がしがたいほどで、ある意味豚肉という概念を壊しているほどの美味しさである。脱帽。「時季のお野菜」は「厳選チーズ」との二者択一のメニューだが、野菜好きとしては(チーズも好きだが)今回も前回に続いてこちらを選択。全国各地のこだわり農家で取れた野菜を50種類以上を味わうようしているとのことだが、この日は60種類の野菜が盛られていた、というか飾られていた。それを今度は五味と共に五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を楽しみながらいただいた。大地の恵みに感謝である。
11品目から13品目まではデザートといった感じであろうか。このへんは私が書くには範疇外の食べ物であるので省略。(笑)
美味しい料理(フレンチ)を食べたい、美味しいお酒(ワイン)を飲みたい、美味しい空間を楽しみたい、そして、美味しい時間を過ごしたいという人は、こちらの店を訪ねることをおすすめする。ディナーはちょっと値段がはるが、ランチならリーズナブルではないだろうか。ただし、上記の願望をすべて叶えるには、少し生意気なことを書くようで申し訳ないが、単に訪ねて食事をするというだけではなく、会話力=社交性も必要となるのではないだろうか。それは単に料理(食材)やお酒などの知識だけではなく、いろいろな会話を同行者とすることで料理は美味しくなり、またギャルソンやソムリエと会話することで、より一層楽しい時間を過ごすことができるのではないだろうか。
昨年の5時間にもおよぶ滞在時間には及ばなかったものの、今回もシェフの生江史伸さんとは洞爺湖にある「ミシェル・ブラス トーヤ」時代からのお仲間であるディレクトールの青島壮介さんといろいろな会話が弾み、4時間余の美味しい時間を過ごした。メルシー・ボクー。
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