昨日(11日)は学芸大学「Cherokee LIVE TAVERN」で、春風亭朝之助(ちょうのすけ)出演の第16回「チェロキー寄席」を聞く。
朝之助の師匠は江戸前落語家として有名な春風亭一朝(大河ドラマ『龍馬伝』の江戸ことば指導を行なった)。兄弟子には春風亭柳朝(6代目)、春風亭一之輔ら実力派がいる。
枕は落語界の正月の過ごし方というかお年玉などの裏話。落語界の正月は1ヶ月と長いというのは知っていたが、お年玉は楽屋とかだけでなく、街中であった時でも後輩の前座から「明けましておめでとうございます」と言われたら(お年玉を)渡さなければならないと。へえ〜。
1席目は「寄合酒」。酒が手に入ったのでみんなで肴は持ち寄って飲もうと。ただ、その肴はほとんどが近くの乾物屋から勝手に持ってきたものばかり。そして、オチは出汁の作り方も知らないという江戸前のお粗末な話。朝之助はテンポも良く噺をすすめていく。師匠譲りの江戸弁も快活で気持ちがいい。
2席目は「三方一両損」。有名な大岡裁きのお話。左官屋の金太郎が3両入った財布を拾い、落とし主の大工の吉五郎に届ける。しかし、吉五郎は落としたものは自分のものではないと言い張り、受け取らない。それを困った大家が奉行所に判断を委ねるように勧め、大岡越前は自ら1両を足して、2人に2両ずつを渡し、三方1両損として解決する。ここでも、朝之助は畳み掛けるように話を進める。大工を「デエク」といったり、左官屋を「シャカンヤ」というなど江戸言葉が頻繁に出てくる。ただ、難点を言わせてもらえれば、年配の大家の演じ方が今ひとつ弱い。もう少し口調を変えるか、姿勢を変えるとかの工夫が欲しい。最後の大岡裁きのシーンがピシッと決まっていただけに中間部の緩みがもったいなかった。
朝之助は二つ目になってまだ2年だが、実力派一門の技をしっかり受け継いでいる。今後も江戸弁に磨きをかけて古典落語の王道をしっかり歩んでいってもらいたい。さて、次回(2月8日)のチェロキー寄席は若手のホープ・春風亭正太郎。東横線沿線の皆さん、お時間のある方は是非とも足を運んでみてください。