先月、自民党の憲法審議会が成人年齢や公職選挙法の選挙権年齢などの引き下げの議論を開始した。これは昨年5月に成立した国民投票法が、投票年齢を18歳以上としたことによる。ただし、衆参両院に設置される予定の憲法審査会は、民主党をはじめとした野党が反対しているので、なかなか開くことができない。そのために、自民党はそれに先走る形で党内論議を先行させているのである。
それでは、なぜ自民党がここまで成人年齢や選挙権年齢を引き下げしようとしているのだろうか。彼らの建前は欧米諸国では18歳以上が成人と認めれていて、それが世界の趨勢(すうせい)だ、ということらしい。さて、そうだろうか。自民党が大好きなアメリカでは18歳の州もあるが、カリフォルニアのように21歳以上というところもある。お隣の韓国や私の好きなタイは確か20歳であったはずだし、中国にいたっては成人年齢はあっても選挙権はないので、比較対象にすらならない。
自民党が18歳にこだわる理由は、今日の社会でもっとも無党派層にして、現状体制のなかでぬるま湯のように過ごしている若者層から支持をとりつけて、政権を維持したいという意図がある。それにしても、若者層が自民党を支持しているという現状そのものが嘆かわしい・・・。
時事通信社が今月16日に発表した世論調査によると、成人年齢引き下げに「反対」と答えた人は過半数の53.6%、「賛成」は40.8%だった。「反対」とした人の理由として「精神的に未熟だから」が66.5%を占め、以下「現状を変える必要はないから」14.0%、「国政への参加は尚早だから」11.6%という順だった。一方、「賛成」の理由は「早くから大人の自覚を持たせるべきだから」が45.9%で、これに「凶悪犯罪は若年者も大人と同様に罰せられるべきだから」31.7%、「国政には若年者の意見も反映されるべきだから」11.7%と続いた。
私の結論は、10数年前までは「賛成」だったが、現在は絶対に「反対」である。というのも、この成人年齢引き下げが完全に自民党の政治的道具に使われていることと、国が税金や年金の増収を目論んでいる魂胆があるからだ。そしてなによりも、今日の18歳の未熟さを考えると、とてもではないが賛成することはできない。
0 件のコメント:
コメントを投稿