水曜日, 2月 11, 2009

東京の5大“粗大ごみ”のひとつ、東京芸術劇場

有楽町の都庁跡地に東京国際フォーラムが完成したとき、建築家の磯崎新さんが某読売新聞に東京には5つの文化施設という“粗大ごみ”ができたと書いたそうだ。その粗大ゴミというのは、完成順に書くと東京芸術劇場(設計:芦原義信)、東京都新庁舎(設計:丹下健三)、江戸東京博物館(設計:菊竹清訓)、東京都現代美術館(設計:柳澤孝彦)、東京国際フォーラム(設計:ラファエル・ヴィニオリ)のことを指している。

このなかで、私は東京都現代美術館へ行ったことはないが、それ以外の4つの施設には何度も足を運んでいる。なかでも東京芸術劇場は単に音楽を聴くだけでなく、中ホールで公演した芝居に二度ほど携わっているのでその内装や設備をかなり知っている。また、小劇場でも何度も芝居を観ている。それゆえに、ここの印象は5大ごみのなかでも最悪である。

まず第一に大ホールへのあの長いエスカレーターのセンスの無さ、実用性の無さは酷いもんである。そして、大ホールへ向かうエレベーターは11人乗りのものが2つあるだけで、身体の不自由な方や御年寄への配慮が全く欠如している。加えて、5階の大ホール入口に入っても実際の劇場の1階はまだまだ上で、これまたエスカレーターである。芦原義信(文化勲章を受章している)という建築家はよほどエスカレーター好きな輩だったのだろう。それなのに、劇場の3階席へ行くには階段しかない。信じられない構造である。

次に中ホールであるが、これは客席の傾斜が非常に緩やかで芝居を観る設計になっていない。その上、声や音が妙に籠もってしまい、東京に数ある中劇場のなかでは最低の観劇環境といっても過言でない。最近は舞台機構の老朽化も目立っていて、そのメンテナンスだけでも大変のようである。

そんな東京芸術劇場も2011年度から大改修工事を行うことが決定している。総工費は114億円で、ミューザ川崎の設計などを手がけた松田平田設計が行うことになった。詳しい計画はまだまだのようであるが、基本方針として劇場内外のデザインを一新して、大ホールおよび中ホールは内装および設備などを改修する。また、バリアフリー化への対応、エレベーターの増設に向けた構造検討なども行うようである。ただ、私としは改修工事などという下手なことをするよりも、一度建物を壊して完全に建替えた方がいいと思っている。そう思う人は少なくないと思うのだが・・・。

東京芸術劇場改修と改革の方向性について
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/bunka/hyougikai/3kai/bunkasisetu_kentoubukai-houkoku.pdf

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