80年代、ニューヨークには格安ホテルがいっぱいあった。私が初めてニューヨークを訪れたのは1983年だが、ニューヨークはまだ再開発される以前で、街にはお世辞にも綺麗とはいえない、1週間で100〜150ドルぐらいで泊まれる超格安ホテルがいくつもあった。
私が初めてニューヨークで泊まったホテルは「Hotel Ashley」といい、タイムズ・スクエアのTKTSからすぐの西47丁目157番地という絶好のロケーションだった。建物の外観はどう見ても20世紀初頭に建てられたという感じで、部屋はキングサイズのベッドが威張ってあるような狭い部屋と、昔ながらのバスタブが置いてあるバスルームという簡素なものであった。机やソファというものはなかったが、それでもテレビはあった。
そんなニューヨークで私は1ケ月余り滞在して、ストレート・プレイ&ミュージカル、クラシック&オペラ三昧の日々を過ごした。この頃は、後にガイドブックを作るなどとは全く思っておらず、とにかく劇場街を好奇心の目で歩いては、面白そうな舞台やコンサートに足を運んだ。
そんなニューヨークも1990年代に入ると、市の開発計画に伴い、タイムズ・スクエア周辺のホテルが次々と買収されていき、それまでの格安ホテルがリノベーションによって、一気におしゃれなホテルへと変身していった。
私が定宿にしていた「Hotel Ashley」も90年頃に買収されて、現在は「Quality Hotel Times Square」という高級ホテルに生まれ変わっている。タイムズ・スクエア周辺とは別に、グリニッジ・ヴィレッジの定宿だった「Washington Square Hotel」も名前こそ変わらないが、こちらも格安ホテルではなくなってしまった。
現在のニューヨークは80年代に比べて、とても治安がよくなっている。そのおかげで世界各地から数多くの観光客が訪れる。その代わり、格安ホテルは全くといっていいほど残っていない。
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