金曜日, 9月 04, 2009

江戸小咄です

久しぶりに江戸小話です。

江戸の娯楽といえば、なんといっても相撲と芝居だった。両国の相撲小屋は人気力士同士の取組となると、大変な混み方である。そのために、小屋前は大変な人だかりになり、お客はあっちへフラフラ、こっちへフラフラ。

一目でも人気力士同士の取組を観たいと思ってやって来た伍作(ごさく)も、表から入ることはできず、裏へ回って犬のように四つんばいになって、囲いの中へ入ろうとした。すると、見張りの男にに見つけられ、

「こらこら、そこは、入るところではないぞ!」
と、襟首を捕まれて、グイッとつまみ出されてしまった。

「何とか入る方法はないものかなあ」
と、伍作はしばらく考えて、今度は囲いの中へ、尻から入ろうとした。すると、またもや見張りの男にに見つかってしまい、

「こらこら、そこは、出るところではないぞ」
と、帯を捕まれて、中へと引きづまれてしまった。

おかげで、伍作はしっかりと相撲見物ができてしまった。

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