昨日(24日)、東京ミッドタウン内にあるサントリー美術館で開かれている『殿様も犬も旅した 広重・東海道五拾三次 ― 保永堂版・隷書版を中心に ―」』展を観てきた。
世間的にはあまり知られていないが、歌川広重の「東海道五拾三次」は生涯で20種類以上のシリーズが刊行されている。そのなかでもっと有名なのが1833年(天保4年)の保永堂版「東海道五拾三次之内」。この展覧会は基本的にこの保永堂版と隷書版「東海道五拾三次」を見比べる形で展示されている。また、一部の絵は初刷から絵柄や刷り方が変わった「変わり図」も展示されていて、これらが大変興味深い。
展示はオーソドックスに「日本橋」から「三条大橋」への順にされている。私はその多くをこれまでに目にしているが、前述したようにそれぞれの宿場の絵が2〜3点飾られているので、いろいろ対比しながら観れるのがとても楽しい。なかには「戸塚」のようにまったく同じ構図にも関わらず、間違い探しのような変わり図もあったりして、広重や彫師・刷師の遊び心が楽しい。またマンガチックな絵もいくつかある。
作品のなかで印象に残ったのはやはり「日本橋 朝の景」「蒲原 夜之雪」「庄野 白雨」の3点。この3点は誰もが認める広重の傑作であろう。多くの絵がいわゆる俯瞰の風景画なのだが、この3点には何か人を寄せつける力というか魅力がある。
実は自宅にこの3点のうち「日本橋」と「蒲原」がある。といっても江戸時代に刷られたものではなく、戦後の復刻版である。会場ではこうした復刻版も売られていたが、それでも1枚が1〜2万円する。それゆえに、これを機会にいっそう大事にしたいと思わざるをえなかった。
なお、タイトルにある「殿様も犬も旅した」とは、殿様は参勤交代行列のことをいい、犬もとは主人に代わってお伊勢参りした犬のこと指している。というのも「四日市」の絵のなかに荷物を背負って旅をする犬が描かれているのである。
浮世絵好きおよび江戸好きにはかなり楽しい展覧会だ。
「殿様も犬も旅した 広重・東海道五拾三次― 保永堂版・隷書版を中心に ―」展
会期:2011年12月17日(土)〜2012年1月15日(日)
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/11vol06/index.html
http://www.suntory.co.jp/news/2011/11197.html
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