月曜日, 1月 06, 2014

戦争も靖国もA級戦犯も知らない子供たち


私の伯父は1945年6月に沖縄で軍属(医者)として戦死した。もちろん遺骨もなければ、正確な死亡日時や死亡場所も解らない。私の父は中国戦線に参戦されたものの無事生還。といっても帰国したのは終戦から2年後の1947年のことである。そして、父は以前時折テレビで放映されていた映画『兵隊やくざ』シリーズを観るたびに、勝新太郎扮する兵隊が上官と喧嘩するシーンに「あんなことしたらすぐに営倉送りだよ」言いながらも喝采していたり、「(従軍)慰安所には将校用と兵隊用があるんだ」と言っていたことを覚えている。また、私は20数年前に中国内陸部へ行ったときに、日本軍の話を聞こうとしたが、その時どれだけ嫌な顔をされて嫌な言葉を聞かされたかを体験している。

安倍晋三は私と同じ年だが、おそらくこうした戦争体験を子供のころに聞いたことなどないのだろう。また、私のように中国で戦争体験を聞き出そうなんてことを考えたこともないのだろう。安倍の母方の祖父は岸信介であり、彼はA級戦犯第一次逮捕者であり、戦争に関する話を孫にしたとはとても思えない。また父親である安倍晋太郎は1943年に海軍航空隊に予備学生として入隊しているものの本土を離れておらず、おそらく実戦経験はないはずだ。

ネトウヨをはじめ今の若者たちが安倍首相の靖国参拝を支持するのは、戦争の悲惨さを直接聞いたことがないからではないだろうか。つまり安倍にしろネトウヨの人たちにしろ、祖父母や両親からきちんとした戦争体験を聞いたことがないのである。しかしながら、多くの国民は今でも祖父母や両親から日本が中国をどう侵略して、日本軍が数多くの中国人を殺害して、悪道非道なことをしていたかを知っている。

それにしても、どうしてネトウヨや今の若者たちはこうした戦争の実体験を聞く耳をもとうとすらしないのだろう。また、靖国神社が出来た経緯やA級戦犯合祀の経緯を調べようとすらしないのだろう。これではまるで無知の涙ではないか。自分から学ぼうとしない姿勢、海外生活を体験しようとすら考えない、閉鎖的かつ盲目的な事大主義的な人たちにつける薬はないのだろうか。

1970年に「戦争を知らない子供たち」という歌が発表され、私もよく愛唱した。私もその戦争を知らない世代であるが、知らなくても上記のように戦争のことを聞かされ、戦争のこと、A級戦犯のこと、靖国神社のことを自分なりに学んだ。しかし、今の子供たちはそうしたことを知らない。知らないというより知ろうとすらしない。

靖国神社は決して英霊が祀られている神社ではない。A級戦犯も極悪非道な軍人たちも祀られている。そんな神社にどうして国家のリーダーが参拝することができるのだろうか。不可解千万である。

日本はいまや戦後ではなく戦前の様相と化している。こんな危険な国にいったい誰がした。

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