・アミューズ
・縮み法蓮草のフリット 大地の香り
・アオリイカのセヴィーチェ
・鮟肝と生ハムのゼリー
・ホワイトアスパラガスのフリット
・フォアグラのリゾット
・カキとアーサーを乗せて蒸し上げた金目鯛 ブールブーランソース
・青首鴨、猪、鹿、フォアグラのカイエット
・チーズの盛り合わせ
・オリーヴオイルのブランマンジェ
・桜のスフレ 抹茶のアイス
・食後のお飲みものと小菓子
アミューズはアニュお馴染みの穴の空いた大きな皿に自分なりに小鉢をおいて楽しむという形式。今回はブロッコリーソースで食べる人参の形をしたクッキーなど3点。ブロッコリーソース(ムース?)はアミューズに出されるのがもったいないぐらいの美味しさ。
「縮み法蓮草のフリット」は縮み法蓮草の根っこと茎部分を使って、菊芋のピュレを塗りまぜた上から土に見立て黒トリュフが散りばらめて大地の香りを表現している。味はサクサク感としっとり感を同時に楽しむといった感じ。「アオリイカのセヴィーチェ」のアオリイカは普通に切られているのではなく、一枚の身を三枚下ろしならぬ3〜4枚にスライスしてから細切りにするという職人技。このために、お刺身で食べるようなコリコリ感はなく、イカが泳いでいるような浮遊感がある変わった味。昨年ここで食べたキャビアのコースのときにも感じたが、シェフの下野昌平さんはこうした浮遊感のある味わいを出すのが上手い人だ思う。
「鮟肝と生ハムのゼリー」は浮遊感から一転、ちょっと重厚感のある料理。ゼリーは生ハムの香りを移したたものとのこと。鮟肝の下にはタケノコや人参なども入っていて、そのバランス感覚はエレガンスにして絶妙。「ホワイトアスパラガスのフリット」はサラっと揚げてあり、それをちょっと変わったソース(オランデーズソースではない)で食べるという趣向。サクサク感と優しいしっとり感を楽しむことができる。で、ここでお皿がこれまでと異なることに気がつく。このお皿はシェフが仕事で石垣島を訪れたときに気に入ったものらしく、クリスタル感のある艶やかな色合いで出来ている。
「フォアグラのリゾット」のリゾットはお米ではなくスペルト小麦。ということで、ここでもファグラのうるおい感と小麦のサラっとした食感の違いを楽しむことができる。「カキとアーサーを乗せて蒸し上げた金目鯛」は白眉だった。金目鯛の美味しさを崩すことなく、カキとアーサー(海草)が海の香りを一層引き立てくれる。また、ブールブーランソース(エシャロットで出来ている)も実に美味しい。最後はパンで綺麗にお皿をクリーンにしてしまった。
「青首鴨、猪、鹿、フォアグラのカイエット」。カイエットとは細かくした肉などを野菜で包んで焼いた料理のことらしく、今回はミンチした青首鴨を主体に白菜で包んでいる。食べた瞬間はちょっと鹿の味が強いと感じるものの、次第に鴨や猪の味わいも分かるようになり、少し風変わりなジビエ料理を味わった思いであった。
お菓子に関してはいつもながらよく解らないのだが(作った人、ごめんなさい)、「桜のスフレ 抹茶のアイス」はしっかりした桜の香りが含まれていて、抹茶の苦味が効いたアイスとマッチしていてとても美味しかった。コーヒーと一緒に出てきた小菓子はちょっと甘めのナッツのメレンゲと円やかなエル・ブリ風のゼリー。
私がア・ニュを好きな理由は斬新な食感を楽しむことができるからだ。それは多彩な味覚だけでなく、嗅覚、触覚、視覚そして時に聴覚を感じえることができるからだ。今後も五感を大事にした料理を提供していただきたいと思う。また、今回は母親に配慮していただいたとメニューを出していただいたことにも感謝したい。それにしても、91歳の母親は元気だ。なんでもペロリと食べる。そして、最後の誕生日祝いのプレートにもお喜びの様子であった。
ア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴー
http://www.restaurant-anu.com/jp/index.html
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