昨日(4日)は国立演芸場で開かれた「さん喬十八番集成 〜夏の夜噺〜」を聞きに行ってきた。出演者と演目は下記の通り。なお、この日は柳家さん喬師匠の74歳の誕生日。
柳亭左ん坊 「狸の札」
柳家さん喬 「ちりとてちん」
柳家さん喬 「禁酒番屋」
〜 仲入り 〜
柳家さん喬 「長短」
柳家さん喬 「笠碁」
寄席や落語会では通常は高座の後は無地の長屏風が置かれているものだが、この日の演芸場には屏風はなく、背景は簾格子戸で風鈴も飾ってあり、夏の風情の舞台美術。
柳亭左ん坊は前座になって丸3年。そろそろ二ツ目だが、その実力は着いたような着かないような・・・。
「ちりとてちん」はもともと「酢豆腐」を上方落語がアレンジされた作品。柳家さん喬は「腐った豆腐」のようでなくサラッと「酢豆腐」のように演じる。師匠曰く「最近は『酢豆腐』を演じる人は少なくなってしまった」と。テレビの影響力はすごいものだと感じる。
柳家さん喬は確か下戸のはずである。それゆえに飲み方や酔い方がとても上手い。「禁酒番屋」では水カステラの時は楽しそうに飲み、油の時はほど酔い加減で飲み、そして小便の時は完全にヘベレケになって飲む。この仕草はコミカルかつ細やかで感心させれる。名人芸だ。
「長短」は気の長いというかノンビリ屋と気の短い短気者の親友同士の噺。ここでもさん喬は饅頭を食べる仕草、煙草を喫(の)む仕草の長短の違いを見事に現す。後談として師匠は「フランスのパリ祭(文化祭)に呼ばれた時に何をやろうかと思ったのですが、『初天神』『長短』『死神』を選びました」と。観客には予めあらすじを教えての公演だったそうだが、受けた瞬間に「フランスは俺のものだ」と。(笑)
「笠碁」も「長短」と同じように仲のいい隠居同士の噺。ただし、こちらは「へぼ」「ざる」と罵り合うが、結局は元の鞘に収まるという滑稽噺。ここでは飲んだり食べたりの仕草ではなく、二人の心理描写を繊細かつ緻密に演じる。名人芸である。
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