京都の隠れた名店『炭火割烹 いふき』を初めて訪れたのは2008年10月のことであった。当時私は仕事の関係で年に何回か京都を訪れる機会があった。それゆえに、京都の美味しいお店をいくつも訪ねることが機会があった。そんななかで、ある日先斗町を歩いていると「炭火割烹」という文字に惹かれて、この「いふき」を訪れた。そして、そこで味わった美味しさはある意味衝撃的で、その後京都へ行くたびに訪れるようになった。
しかし、2011年の東日本大震災、母親の介護、コロナと続いたために、2010年を最後に訪れるチャンスがなかった。その間に「いふき」は2011年4月にお店を先斗町から祇園に移転して、その年のミシュランガイド京都大阪2011で一つ星を獲得した。そして2017年からは今日まで二つ星掲載になっている。
そんな「いふき」に13年ぶりに訪問。花見小路に移った店の外見は他の店と同じ造りで、提灯の灯りがなくしては判断がつかない。そんなお店の外見を撮ろうとしていたら、ちょうどお客さんの見送りのために出てきた店主と女将さんといきなり遭遇。ちょっと出鼻を挫かれたというか、緊張の糸がほぐれて店内へ。店内は1階にカウンター8席の造り。先斗町時代の店は足を下ろす掘り炬燵形式だったが、祇園の店は椅子形式で1席がゆったりと広い。そして、何よりも驚いたのが、焼き方も煮方のスタッフも先斗町時代と変わらなかった。
料理はすべてコースで、その内容を書くのは割愛させてもらうが、出汁の繊細さというか風味は限りなく旨みを追求しているという向上心を醸し出すもので、唸らざるをえない美味しさだ。メインの焼きものはチョイスすることができ、私はノドグロと鰻を頼んだ。サウスポーの焼き方のお兄さんは以前と全く変わらず、中は柔らかく外は香ばしく少しパリパリ感を出してくれる。
全部で何品出されたかは覚えていないが、とにかくどれもこれもその美味しさを堪能した。10数年ぶりの訪問だが、その味はもちろん進化していて、それでいておもてなしは昔を思い出させるものであった。10数年ぶりの訪問で、こんなことを言うのもなんだが、私の京都の行きつけの店は「ここ」、馴染みの店は「ここ」、自信をもっておすすめできる店は「ここ」と言える店である。
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