木曜日, 1月 24, 2013

美食日記「くろいわ」(恵比寿)


先週、以前より食べに行きたいと思いながらなかなか訪れるチャンスがなかった恵比寿の日本料理店「くろいわ」へ行ってきた。お店は恵比寿駅東口より徒歩7〜8分の恵比寿郵便局近くにある。

店内は日本料理店らしく落ち着いた木目調の空間。カウンターは8席で奥に座敷と茶席がある。カウンター席は調理台と同じ高さにあり、その間に仕切りというか台がない。それゆえにカウンター席のお客は調理している姿を目前に見ながら会話することができる。

料理はおまかせコース。1月は正月ということでお屠蘇からスタート。最近はお正月とはいえお屠蘇を飲まない家が多くなり、私もこれが初お屠蘇となった。(苦笑)それに続いて少しカラシがお餅の上にのった白みそのお雑煮。そして、八寸の「七運盛り」(写真上)が登場。ぎんなん、きんかん、れんこん、にんじんなど7つの「ん」の字がつく食材を盛り合わせたもので、新しい年によい「運」がありますようにという粋な計らいで、これまたお正月らしさを彩っている。

そのあとは、海老しんじょのお椀、かわはぎなどお造り、カブト焼きなどが出てきて、お酒のペースも次第に上がっていく。そんなところに、私をもっと喜ばせれてくれたのが、写真左にある赤貝、からすみ、子持ち鮎、白子、猪の燻製などの盛り合わせ。これは飲兵衛は堪らない。

日本酒は常時30種類以上置いているそうで、ぬる燗の『蓬莱鶴』(広島)に始まり、『乾坤一』(宮城)『原田』(山口)『梵』(福井)『満寿泉』(富山)など普段あまりお目にかかれない名酒を楽しませてもらった。ほかにも古酒もあるそうで、店主の黒岩宏達さんは日本酒を語り出したら話が止まらない、止まらない。料理を語るよりも熱かった。(笑)

あとここで目を見張ったのが器の豊富なこと。決して奇をてらったものではなく、料理や店の雰囲気にマッチするものをうまく揃えているという感じがする。開店してまだ1年余りというのにこれだけの器があると大変なのではと質問すると、女将さんも「保管する場所が大変なんですよ」と苦笑いしていた。

その後も何か料理が出てきたようだがよく覚えていない。ご飯は土鍋で炊いたちりめん山椒入りで、これがなんともはや美味。どこのお米を使っているのだろう。一人あたり二合炊くというので、とてもではないが全部食べられず、残りはおにぎりを竹皮に包んでお土産にしていただく。これも粋な計らいである。

ここは私のように日本酒好きには堪らない店である。酒をチビリチビリやりながら、料理を肴にして話をしたい人ならば常連になりたくなるに違いない。その意味においては日本料理店というよりも日本酒料理店と言ってもいいのかもしれない。(笑)帰りは初めての客にもかかわらず、店主および女将さんが我々が外の角を曲がるまでお見送りしてくれた。一緒に行った友人が「こういうのに弱い」と言っていたが、それだけでなくとももう一度訪れなくてはと思わせる店であった。

くろいわ
 http://www.kuroiwa.org/

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