一昨日(25日)新宿末広亭で開かれた4月下席・夜の部を聞いてきた。出演者と演目は下記の通り。
林家けい木 『寿限無』
三遊亭ぬう生 『定年ホスト』
ホームラン 漫才
柳家喬志郎 (不明)
鈴々舎鈴之助 (不明)
翁家勝丸 太神楽
三遊亭吉窓(三遊亭万窓の代演)『大安売り』
桂ひな太郎 『締め込み』
伊藤夢葉 奇術
林家しん平 『無精床』
柳家三三 『金明竹』
〜 仲入り 〜
春風亭百栄(林家彦いちの代演)『誘拐家族』
ホンキートンク 漫才
柳家小せん(入船亭扇辰の代演)『鷲とり』
橘屋文左衛門 『時蕎麦』
三増紋之助 曲ごま
柳亭喬太郎 『カマ手本忠臣蔵』
開口一番はこの日23歳を迎えたという林家けい木。1年前に末広亭に行ったときも開口一番は彼だった。1年たって成長しているかというと、木久扇門下というせいかゆっくりのようである。
三遊亭ぬう生は三遊亭圓丈門下の二つ目。マクラで「世界落語ランキング196位」と紹介。つまり、落語協会には彼より195人の先輩がいるということらしい。落語は新作で定年を迎えた男がホストをするという話。もうひとひねりすればかなり面白い話になると思うのだが。ホームランは知る人ぞ知る漫才の大ベテラン。この人たちを寄席で見れたのが嬉しい。身体の大きい勘太郎と少し小柄だが先輩のたにしの掛け合いに惚れ惚れする。まだ満席にはなっていなかったが場内大爆笑。
柳家喬志郎は柳家さん喬門下で、昨年9月に真打ちに昇進。ただしもうちょっと覇気が欲しかった。鈴々舎鈴之助、タイミングが悪かった。ほとんど寝落ちしてしまいました。申し訳ない。翁家勝丸は花籠鞠の芸を行うが、鞠が何度もこぼれ落ち上手いのかどうかがよく解らない。
三遊亭吉窓は頭が綺麗な100Wのピッカリくん。厳しいと言われる圓窓門下ということであって話はとてもしっかりしている。一度しっかり聞いてみたい。桂ひな太郎は落語界の坂東玉三郎または病み上がりの舟木一夫と称しているが、どこかの高校教師か作家というインテリ風。落語もインテリ風。伊藤夢葉は伊藤一葉の唯一の弟子。ということで、奇術というより話芸主体の奇術。寄席にはこういう奇術はかかせない。柳家三三は小三治の弟子というだけあって、どことなく風貌も話し方も昔の小三治に似ている。『金明竹』をしっかり聞かせてくれる。この人は次代のホープである。
仲入り後、お客さんがいっぱい入ってきて、この日は2階席も開放される。人気者たちの出演ということもありさすがである。
春風亭百栄はどことなく頼りない顔と語り口だが、ツボはしっかりと押さえている。こうした人の新作落語は意外に引き込まれる。ホンキートンクは若手漫才のホープ。テンポの良い掛け合いが心地よい。入船亭扇辰(聞きたかった)の代演の柳家小せんは『鷲とり』をサラッと演じる。次に登場した橘屋文左衛門は冒頭「喬太郎師匠も楽屋入りしたので、私はサラッと終えて、喬太郎師匠にたっぷりやってもらいますから。いや、やらせませすから」と言うものの『時蕎麦』をたっぷりと演じる。コワモテ顔と崩したときの顔のギャップが絶妙で楽しませてもらう。三増紋之助は江戸曲ごま。トリ前の一服の清涼剤で寄席ならのものである。
最後は主任の柳亭喬太郎。彼の代表作のひとつでもある『カマ手本忠臣蔵』をこの日の出演陣が忠臣蔵を演じたらどの役になるだろうかというマクラから、忠臣蔵は実は忠義ではなくオカマたちによる「LOVE」の心中劇だという奇想天外な物語になり場内大爆笑。
寄席はやはり面白い。ホールなどでの落語会もいいが、昔ながらの風情ある雰囲気に浸れるのがいい。
0 件のコメント:
コメントを投稿