日曜日, 1月 04, 2015

大学スポーツの範疇を逸した箱根駅伝

箱根駅伝には以前からいろいろと疑問を抱いているが、今回もまた疑問を抱いてしまった。

ご存知のように今回の大会は青山学院大学が圧倒的な力を発揮してぶっちぎりの初優勝をした。ではなんで青山学院なのだろうかということ考えると、やはりそこには学校全体の士気高揚、および受験者数(=試験料増額)を見込んでいるのではないかと思わざるを得ないのである。

まず1960年以降の箱根駅伝優勝校の歴史を見ていただきたい。大まかに書くとだいたいこうなる。

1960年代は中央大学(5回)と日本大学(3回)の時代
1970年代は日本体育大学(6回)と大東文化大学(2回)の時代
1980年代は順天堂大学(6回)と早稲田大学(2回)の時代
1990年代は山梨学院大学(3回)と神奈川大学(2回)など混戦の時代
2000年代は駒沢大学(6回)と順天堂大学(2回)の時代
2010年代は東洋大学(3回)そして青山学院大学の時代か?
※( )内はその年代10年間での優勝回数

60年代以前は早稲田大学(優勝回数9回)、中央大学(8回)、日本大学(8回)、明治大学(7回)のいわゆるマンモス校が独占していて、60年代もその流れを引き継いでていた。ところが、1970年代以降になるとその様相がガラッと変わった。

70年代は体育大学としてのメンツの日体大と、学部拡張をしていて入学者を増やしたいという思惑の大東文化の時代だった。そして、このことは80年代も同様で、体育学部を充実させたい順天堂大学と学部拡張していた早稲田大学が箱根駅伝を支配していた。

そして、90年代は戦国時代というか地方の時代に入り、山梨学院大学と神奈川大学が知名度アップ=志願者数増加のために力を注いで優勝するなど混戦の時代になった。ところが、2000年代になると、駒沢大学が絶対的な力を発揮するようになり、2009年以降は東洋大学が天下を取るようになった。

2009年東洋大学が箱根駅伝に優勝したときに、志望者数が前年より1万人増えて、受験料だけでも2〜3億円の増額になったといわれる。ちなみにこのことは2000年に駒沢大学が初優勝したときにも起きていたと言われる。おそらく青山学院も今年および来年の志願者が増えることは必至であろう。

箱根駅伝はもはや学生スポーツという範疇を通りこしている。圧倒的な視聴率を獲得して私立大学にとっては格好の宣伝の場になっている。そこで優勝することは志願者数を増やすことになり、しいては大学の拡充などにも利点があると言わざるをえない。そして、有能な長距離選手はみんな関東の大学に進学してしまい、それにつられて多く高校生が関東の大学に進学する。以前から言っているように箱根駅伝は地方大学軽視の大会でしかない。地方創生を旗印にしている安倍政権はこの大会をどう思うのだろうか。まあ、主催が読売新聞だからお咎めはしないだろうけど。

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