阪急阪神ホテルズに端を発したメニュー偽装表示問題も少しひと段落したようだが、考えてみれば偽装表示なんていうのは今に始まったことではなかった。「日本中国料理協会」も海老の表示に関してはかなり曖昧だったと認めていて、「シバエビ」は小さな海老の俗称として使われていたと。そして、今後は海老は「エビ」か「小エビ」で表示するようにするという。
そもそも英語でも海老はshrimp(小エビ)かprawn(普通サイズのエビ)と言うぐらいで、あとはlobster(大きいエビ)ぐらいしか単語がない。それゆえに伊勢エビもロブスターも大きな海老はみんなlobsterと一緒になり、日本のようにサクラエビ、シバエビ、ブラックタイガー、車エビなどと細かに言う習慣はまったくない。
考えてみれば、タラバニガニなんて名前そのものから偽装表示のカニもいる。あれはタラが取れる漁場(バ)で獲れるカニもどきということでタラバガニという名前がついているが、生物学的にはカニではなくヤドカリ科に属する生物である。このことは英語でも同じで、king crabと呼ばれていて、これではヤドカリもカニになってしまう。
しかし、このタラバニガニを偽装表示しているカニもいる。アブラガニだ。アブラガニは体形もタラバガニとほとんど一緒だし、味もさほど変わりがない。唯一の違いは漁期でアブラガニが1月から6月にかけてなの対して、タラバガニは7月から12月とまったく異なる。ただ、昨今は冷凍技術が発達しているので、消費者はどちらがいつ獲れたかなど解らない。それゆえに、アブラガニをタラバガニと売られても皆目見当がつかない。加えて、築地などでは蟹の甲羅だけを売っていたりするので、お店でタラバガニの甲羅にアブラガニを入れて、蟹の甲羅焼きと言って出されたら、もう偽装表示なのかそうでないのかすら解らなくなってしまう。
海老や蟹を食べるときは、最初からこれは偽装表示の食べ物なんだなと思って、食べるしかないのかもしれない。
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