火曜日, 6月 09, 2015

偽りと欺瞞に満ちた東京オリンピック計画だった

2013年9月にブエノスアイレスで開かれたIOC総会。2020年東京オリンピックのプレゼンテーションは、競技会場の85%を選手村から半径8キロ以内に配置し、選手や関係者に負担をかけない「コンパクトな五輪」ということだった。それが東京が当選した大きな理由のひとつであった。

「東京圏に位置する33カ所の競技会場のうちの28カ所、IBC/MPC、そしてIOCホテル、IPCホテルは、オリンピック・パラリンピック選手村から8キロ以内に設置される。この計画により、非常に効率性の高いオリンピック用の移動手段と、世界に名高い東京の公共交通ネットワークは、選手及びすべての関係者にとって迅速で利便性の高いオリンピック交通サービスとなる」
(東京オリンピック計画より)
https://tokyo2020.jp/jp/plan/candidature/dl/tokyo2020_candidate_section_8_jp.pdf

あれから1年9ヶ月。東京オリンピックの多くの競技会場は「コスト削減」などを理由に、選手村から半径8キロ以内でない場所に変更された。具体的には下記の通りである。

バスケットボール  「夢の島ユースプラザ」→さいたま市「さいたまスーパーアリーナ」
馬術  「夢の島競技場」→「馬事公苑」
カヌー・スラローム  「葛西臨海公園」→隣接地
水球  「ウォーターポロアリーナ」→「東京辰巳国際水泳場」
バドミントン  「夢の島ユース・プラザ・アリーナ」→調布市「武蔵野の森総合スポーツ施設」
セーリング  「若洲オリンピックマリーナ」→藤沢市「江の島ヨットハーバー」
7人制ラグビー  「新国立競技場」→調布市「味の素スタジアム」
レスリング  「東京ビッグサイト」→千葉市「幕張メッセ」
フェンシング  「東京ビッグサイト」→千葉市「幕張メッセ」
テコンドー  「東京ビッグサイト」→千葉市→「幕張メッセ」

このほかにも自転車とサッカーの競技会場は未定だし、またまた競技会場を変更しそうな競技があるような気がする。

これでは、とてもじゃないが「コンパクトな五輪」ではない。あの「お・も・て・な・し」プレゼンテーションは「ま・や・か・し」でしかなかった。

こうしたなかで、組織委員会の武藤敏郎事務総長は競技会場が新設するものから既存のものになり「全体として約1千億円の節約になる」と言っている。そのことによって、浮いたお金は新国立競技場建設にまわせばと目論んでいるに違いない。

過去のオリンピックでも、競技会場が変更になることはよくあった。しかし、これほど変更されたことはあっただろうか。それにしても、こうした競技会場変更を見越したうえでプレゼンテーションを行い、プランB(裏プラン)まで考えていたとしたら、東京都オリンピック準備室およびそれを支えている大手広告代理店は相当なワルである。

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