昨日(9日)は学芸大学「Cherokee LIVE TAVERN」で柳家ほたると春風亭正太郎出演の「チェロキー寄席」を聞いてきた。
落語家というのは多彩な趣味(もしくは芸)を持つ人がいる。なかでも音楽や踊りを得意とする人は多い。また今回出演の2人のように絵を得意とする人もいる。柳家ほたるは猫の絵を、そして春風亭正太郎は似顔絵を得意とする。その意味において今回の二人会は「画伯の会」もしくは「絵師の会」でもある。w さて、演目は下記の通り。
柳家ほたる 『たらちね』
春風亭正太郎 『たがや』
〜 仲入り 〜
春風亭正太郎 『看板のピン』
柳家ほたる 『幾代餅』
1席目。マクラは師匠(柳家権太楼)と一緒に行った熊本での出囃子の曲を間違えるという気のきいた(?)おばちゃんの話。「たらちね」は長屋の八五郎と言葉使いが馬鹿丁寧なお清との珍問答を繰り返すという噺だが、柳家ほたるはこれをほとんど淀みもなく語る。ただ、八五郎に比べてお清のインパクトが薄い。もっともっと大袈裟に表現してもいいのかもしれない。
2席目。両国の川開きの日(5月28日)に両国橋の上で、たがや(桶や樽などを竹で絞めるロープのようなものを売る商売)と侍の一行の経緯を描く話。基本的に町人が武士を揶揄する話。春風亭正太郎は情景描写が上手い。川開きでごった返す両国橋の情景というか状況を上手く語る。ただ、逆にたがやが侍を討ち果たす描写が少し生々しく滑稽さがない。これではオチに面白みがでない。難しい落語である。
3席目。「看板のピン」は博打の話である。オチが聞いている人にも想像がつくという話なので、いかに独自の話術で話を進めていくかという落語である。春風亭正太郎は軽妙かつスマートに話を展開していく。ただ、壺振りのシーンをもっと誇張した方がオチに面白みが出るような・・・。
4席目。「幾代餅」は個人的には大好きな演目。つき米屋(精米店)の奉公人清蔵が吉原の花魁・幾代太夫を娶るという、ある意味夢物語のような廓噺。清蔵の実直ぶりと花魁の艶かさの対比をいかに描くかで話の良し悪しが決まる。柳家ほたるはその風貌からして、清蔵の実直ぶりは無難にこなすが、幾代太夫の吉原にいる悲哀というか憂愁が今ひとつ。これを克服すれば、十八番にできるのではないだろうか。
それにしても、今回の会は長かった。仲入りまでに1時間10分あった。普通の落語会なら普通だが、チェロキーだと長く感じてしまう。というのも、木の椅子に長時間直接座るとお尻が痛くなる。せめて座布団もしくは小さなクッションが欲しい。
さて、次回(6月13日)のチェロキー寄席は入船亭小辰と入舟辰之助の「扇辰弟子の会」。東急東横線沿線でお時間のある方は是非とも足を運んでみてください。
木曜日, 5月 10, 2018
金曜日, 5月 04, 2018
イチロー実質的引退
イチローが実質的にMLBを引退した。マリナーズはイチローと生涯契約を結ぶと言っているが、イチローの今シーズンの出場は今後なし。これは現監督がイチローに対して戦力外通告をしたものの、マリナーズは大功労者であるイチローに対する敬意と同時に、来年日本で開かれるMLB開幕戦(アスレチックス vs マリナーズ)のことを配慮したと思われる。つまり、来年の監督次第だがイチローは来年の日本での開幕戦および本拠地シアトルでの開幕戦を最後に登録メンバーを離れるだろう。つまりこれが完全な引退になる。
昨今のイチローの打席を見ていると、そのほとんどが振り遅れの内野ゴロばかりである。これは間違いなく動体視力の低下によるものである。こうなると、残念なことだが昨今のゴロよりフライを好むメジャーの監督としてもこういった選手を使いたいと思わなくなる。ということで、球団は現監督およびイチローのことを思い、今回のような処遇(=措置)になったのだろうと思う。
いずれにしろ、いつかこういうときがイチローにもやってくるとは思っていた。イチローは20代の頃好きだったTVゲームも封印して、動体視力の低下をしないように心がけていた。他にも野菜をほとんど食べないという偏食も改善していたと聞く。しかしながら、改善できないのは寄る年波である。なんと言っても44歳である。イチローと比較するのはおこがましいが、私は30代後半にバックパックで旅する力の限界を感じた。おそらく多くの人が似たような体力の限界を感じたことがあると思う。
イチローは2001年から18年MLBに在籍している。その間に新人王、MVP、首位打者、ゴールドグラブなど数多くの賞を受賞して、通算安打も3000本を越えている。しかし、そんな彼が得ていないものがある。ワールドシリーズ・チャンピンリングである。松井秀喜、田口壮、松坂大輔らが得ているリングを彼は持っていない。ただ、イチローが生涯契約を続けるならば、いつかマリナーズが優勝すればそのリングを手にすることができるかもしれない。しかし、その生涯契約がいつまで続くかは神のみぞ知るである。
昨今のイチローの打席を見ていると、そのほとんどが振り遅れの内野ゴロばかりである。これは間違いなく動体視力の低下によるものである。こうなると、残念なことだが昨今のゴロよりフライを好むメジャーの監督としてもこういった選手を使いたいと思わなくなる。ということで、球団は現監督およびイチローのことを思い、今回のような処遇(=措置)になったのだろうと思う。
いずれにしろ、いつかこういうときがイチローにもやってくるとは思っていた。イチローは20代の頃好きだったTVゲームも封印して、動体視力の低下をしないように心がけていた。他にも野菜をほとんど食べないという偏食も改善していたと聞く。しかしながら、改善できないのは寄る年波である。なんと言っても44歳である。イチローと比較するのはおこがましいが、私は30代後半にバックパックで旅する力の限界を感じた。おそらく多くの人が似たような体力の限界を感じたことがあると思う。
イチローは2001年から18年MLBに在籍している。その間に新人王、MVP、首位打者、ゴールドグラブなど数多くの賞を受賞して、通算安打も3000本を越えている。しかし、そんな彼が得ていないものがある。ワールドシリーズ・チャンピンリングである。松井秀喜、田口壮、松坂大輔らが得ているリングを彼は持っていない。ただ、イチローが生涯契約を続けるならば、いつかマリナーズが優勝すればそのリングを手にすることができるかもしれない。しかし、その生涯契約がいつまで続くかは神のみぞ知るである。
火曜日, 5月 01, 2018
毎日新聞落語会「渋谷に福来たる 桃月庵白酒芸術選奨新人賞受賞記念的な」
昨日(4月30日)は渋谷区文化総合センター大和田で開かれた毎日新聞落語会「渋谷に福来たる 桃月庵白酒芸術選奨新人賞受賞記念的な」を聞いてきた。本題に入る前に芸術選奨新人賞について軽く説明を。
芸術選奨新人賞(大衆芸能部門)はそう簡単に受賞できる賞ではない。2000年以降に演芸関係で受賞した人は下記の通り。
2001年 桂吉朝 『七段目』『百年目』など
2002年 笑福亭鶴笑 パペット落語『不思議の星のアリス』など
2003年 桂文我 『蛸芝居』『盆唄』など
2005年 柳家喬太郎 人情噺『錦の舞衣』など
2008年 林家たい平 『林家たい平独演会』など
2013年 古今亭菊之丞 『第七回 古今亭菊之丞独演会』など
2015年 桂吉弥 『噺家生活20周年記念 桂吉弥独演会』など
2016年 柳家三三 『定例三三独演』など
2017年 土屋伸之、塙宣之 『ナイツ独演会』など
2018年 桃月庵白酒 『桃月庵白酒25周年記念落語会的な』など
これをみればわかるように今世紀に入って東京の演芸関係者で受賞しているのは柳家喬太郎、林家たい平、古今亭菊之丞、柳家三三、ナイツ、桃月庵白酒のたった6人(組)だけなのである。一方、新人賞でなく2000年以降に芸術選奨大臣賞を受賞しているのは古今亭志ん朝、柳家小三治、桂歌丸、立川志の輔、柳家権太楼、柳家さん喬、五街道雲助、春風亭小朝、入船亭扇遊と錚々たるメンバーである。
こうみると、桃月庵白酒の受賞は喜ばしいことではあるが、かなりのプレッシャーになるやもしれない。(笑)
ということで、オープニングトークではそういうプレシャーのかかる話かと思ったら、三遊亭白鳥がいきなり「おれ、去年の芸術祭に参加したんだよ。ある人に絶対獲れるからとそそのかされたら落選よ」と。これには一同「そんなのに参加していたの」「いったい誰にのそそのかされたの」で大盛り上がり。ということで、オープニングトークは予定より10分超過して高座へ。で、演目は下記の通り。
桃月庵白酒 『宗論』
三遊亭白鳥 『黄昏のライバル〜白酒編〜』
〜 仲入り 〜
林家彦いち 『掛け声指南』
桃月庵白酒 『寝床』
1席目は本来は参加予定のはずだった(?)という春風亭一之輔に代わって桃月庵白酒が白鳥師匠曰くやっつけ仕事の『宗論』を。これは大正時代に実業家にして劇作家だった益田太郎冠者が書いた宗教を茶化した噺。本来は15分ぐらいある噺だと思うが、白酒はやっつけ仕事よろしく10分程度で終了。やっつけ仕事ながらも場内は爆笑。とにかく彼は客の反応を掴むのが上手い。
2席目は三遊亭白鳥の桃月庵白酒の20年後を予言する未来話。三遊亭白鳥は三遊亭圓丈門下ということもあり、新作落語の旗手。今回の落語も自作のオリジナルを桃月庵白酒に置き換えて、最後には駕籠かきと雲助(白酒の師匠)をかけたオチも披露。あまりの素晴らしいオチに唖然。拍手もできずごめんなさい。w
3席目は林家彦いちの有名な新作落語。ボクシングのセコンドとして働くタイ人のムァンチャイが言葉の壁を乗り越えるのため、新宿の街頭で日本語を勉強して、再びセコンドに戻るという話。とにかくその言葉遊びが荒唐無稽。彦いちは林家木久扇門下ということもあり、師匠譲りのイヤミのなさがいい。白鳥師匠には悪いが、次の芸術選新人賞は彼かもしれない。w
トリは芸術選奨新人賞受賞の桃月庵白酒。これまでに数多くの「寝床」を聞いてきたが、白酒の「寝床」はケレン味がなく、これまで聞いてきた「寝床」では最高の出来。義太夫好きの商家の旦那であり長屋の大家でもある男と番頭である繁蔵のやりとりがとにかく巧妙。さすが新人賞受賞である。次はぜひとも20年後に師匠ももらっている芸術選奨大臣賞を受賞してもらいたい。w
芸術選奨新人賞(大衆芸能部門)はそう簡単に受賞できる賞ではない。2000年以降に演芸関係で受賞した人は下記の通り。
2001年 桂吉朝 『七段目』『百年目』など
2002年 笑福亭鶴笑 パペット落語『不思議の星のアリス』など
2003年 桂文我 『蛸芝居』『盆唄』など
2005年 柳家喬太郎 人情噺『錦の舞衣』など
2008年 林家たい平 『林家たい平独演会』など
2013年 古今亭菊之丞 『第七回 古今亭菊之丞独演会』など
2015年 桂吉弥 『噺家生活20周年記念 桂吉弥独演会』など
2016年 柳家三三 『定例三三独演』など
2017年 土屋伸之、塙宣之 『ナイツ独演会』など
2018年 桃月庵白酒 『桃月庵白酒25周年記念落語会的な』など
これをみればわかるように今世紀に入って東京の演芸関係者で受賞しているのは柳家喬太郎、林家たい平、古今亭菊之丞、柳家三三、ナイツ、桃月庵白酒のたった6人(組)だけなのである。一方、新人賞でなく2000年以降に芸術選奨大臣賞を受賞しているのは古今亭志ん朝、柳家小三治、桂歌丸、立川志の輔、柳家権太楼、柳家さん喬、五街道雲助、春風亭小朝、入船亭扇遊と錚々たるメンバーである。
こうみると、桃月庵白酒の受賞は喜ばしいことではあるが、かなりのプレッシャーになるやもしれない。(笑)
ということで、オープニングトークではそういうプレシャーのかかる話かと思ったら、三遊亭白鳥がいきなり「おれ、去年の芸術祭に参加したんだよ。ある人に絶対獲れるからとそそのかされたら落選よ」と。これには一同「そんなのに参加していたの」「いったい誰にのそそのかされたの」で大盛り上がり。ということで、オープニングトークは予定より10分超過して高座へ。で、演目は下記の通り。
桃月庵白酒 『宗論』
三遊亭白鳥 『黄昏のライバル〜白酒編〜』
〜 仲入り 〜
林家彦いち 『掛け声指南』
桃月庵白酒 『寝床』
1席目は本来は参加予定のはずだった(?)という春風亭一之輔に代わって桃月庵白酒が白鳥師匠曰くやっつけ仕事の『宗論』を。これは大正時代に実業家にして劇作家だった益田太郎冠者が書いた宗教を茶化した噺。本来は15分ぐらいある噺だと思うが、白酒はやっつけ仕事よろしく10分程度で終了。やっつけ仕事ながらも場内は爆笑。とにかく彼は客の反応を掴むのが上手い。
2席目は三遊亭白鳥の桃月庵白酒の20年後を予言する未来話。三遊亭白鳥は三遊亭圓丈門下ということもあり、新作落語の旗手。今回の落語も自作のオリジナルを桃月庵白酒に置き換えて、最後には駕籠かきと雲助(白酒の師匠)をかけたオチも披露。あまりの素晴らしいオチに唖然。拍手もできずごめんなさい。w
3席目は林家彦いちの有名な新作落語。ボクシングのセコンドとして働くタイ人のムァンチャイが言葉の壁を乗り越えるのため、新宿の街頭で日本語を勉強して、再びセコンドに戻るという話。とにかくその言葉遊びが荒唐無稽。彦いちは林家木久扇門下ということもあり、師匠譲りのイヤミのなさがいい。白鳥師匠には悪いが、次の芸術選新人賞は彼かもしれない。w
トリは芸術選奨新人賞受賞の桃月庵白酒。これまでに数多くの「寝床」を聞いてきたが、白酒の「寝床」はケレン味がなく、これまで聞いてきた「寝床」では最高の出来。義太夫好きの商家の旦那であり長屋の大家でもある男と番頭である繁蔵のやりとりがとにかく巧妙。さすが新人賞受賞である。次はぜひとも20年後に師匠ももらっている芸術選奨大臣賞を受賞してもらいたい。w
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