木曜日, 6月 02, 2022

ソロホームランが6本も出たプロ野球交流戦(ヤクルト vs ロッテ)

昨日(1日)は神宮球場にプロ野球交流戦・東京ヤクルトスワローズvs千葉ロッテマリーンズの試合を観に行ってきた。いや〜、めちゃ面白い試合でした。

というのも途中4回まで試合は3対3と同点だったのですが、その得点が全てソロ本塁打によるもの。それもみんな気持ちのいい一打で、なんかスカッとしました。

まずは1回裏に山田哲人(ヤ)が第11号ホームランをレフトスタンドに。続いて2回表に中村奨吾(ロ)が会心の第3号をレフトスタンドに。そして1アウト後に安田尚憲(ロ)が今季1号となるホームランをレフトスタンドに。その裏には今度はオスナ(ヤ)が第5号。ここまでのヒットは全てホームラン。

4回表に安田が今度はライトスタンドに弾丸ライナーの第2号を。この時は隣に座っていたYASUDAのユニフォーム着ていたお兄さんとハイッタッチしてしまう。(笑)それに負けじとその裏にはヤクルトの浜田太貴がこの日もっとも飛んだと思われる(推定飛距離125m)第5号をかっ飛ばした。浜田は高卒4年目という若手だが、打撃センスもパンチ力もあり、かなりの有望株の選手ではないだろうか。

それにしても、ソロホームランが4回までに6本飛び出す試合なんて初めて観た。ビール3杯、から揚げ、ポテトフライがとても美味しく感じる試合だった。



水曜日, 6月 01, 2022

春風亭一蔵「番頭発、真打行き」@お江戸日本橋亭

昨日(31日)はお江戸日本橋亭開かれた「春風亭一蔵『番頭発、真打行き』」を聞きに行ってきた。この企画は蝶花楼桃花が自身の披露興行の番頭を務めてくれた春風亭一蔵を労うもので、「春の番頭をねぎらい秋の真打昇進を応援する会」という副題がついている。なお、出演者と演目は下記の通り。

春風亭てるちゃん 「元犬」
春風亭一蔵    「新聞記事」
蝶花楼桃花    「所沢パラダイス」
          三味線(かっぽれetc)
 〜 仲入り 〜
~トーク~    「番頭発、真打行き」
春風亭一蔵    「小言幸兵衛」

春風亭てるちゃんは春風亭小朝の末弟弟子で5月に前座になったばかり。ということで、噺は押して知るべしだが、後半になって場慣れしたのか少しエンジンがかかっていた。

新聞記事は泥棒に入った家(天ぷら屋)がすぐに捕まった。「入った家が天ぷら屋だけにすぐ揚げられる」とネタを知った八五郎はそれを言いたくて先輩の家を訪ねるという噺。春風亭一蔵は趣味の競艇や落語家の裏話を織り交ぜながら話を軽快に進めていく。一蔵はこういう与太噺というかおバカ噺は本当に上手い。

高座に見台が登場。蝶花楼桃花は講談でも行うのかと思ったら、この見台をバーカウンターに見立てて「所沢パラダイス」というアラサーの時に作ったというアラフォーとバーテンとの取り止めのない噺。これ、ネタをもっと熟成させていけば、桃花の代表作になっていくのではないだろうか。

新作のあとは三味線で「おてもやん」「かっぽれ」などを披露。三味線の腕前はまあごく普通だが、歌声は実にいい。声質も声量も申し分ない。柳家小菊師匠などに徹底的に習ったら、もっともっと上手くなるのではないだろうか。

トークは蝶花楼桃花の真打興行の大初日に、番頭である一蔵はこともあろうか競艇で大儲けしたという話に終始する。(笑)

一蔵の「小言幸兵衛」は先日聞いたばかりだが、彼は完全にこの噺を掌中にした。是非とも十八番にしてもらいたい。

それにしても、5代目春風亭柳朝一門の勢いは素晴らしい。春風亭柳枝、蝶花楼桃花、そして春風亭一蔵と相次いで有望な真打が誕生している。同門の橘家、林家もがんばれ!



火曜日, 5月 31, 2022

黒人選手が少なくなったメジャーリーグ

メジャーリーグ(MLB)を観ていて、黒人選手が少なくなったなあ、と思う。

データなどによると1970年代は3割は黒人選手だったのに、現在は8%までになっているという。確かに大谷翔平が所属しているロサンゼルス・エンゼルスにしてもロースター(登録選手)ではレンヒーフォ内野手、イグレシアス投手だけだと思う。ただ、この2人はベネズエラとキューバ出身でアメリカ生まれではない。アメリカ生まれの黒人選手となると、現在はマイナーに落ちているがプロスペクトのジョー・アデル外野手だけであろう。おそらく他のチームでも同じような傾向ではないかと思う。

では、なぜこれほど黒人選手が減ったかといえば、野球はバッドにグラブにとお金がかかるからだと一般的に言う。しかしそれは間違いだ。フットボールもヘルメットや防具などにそれなりのお金がかかる。黒人選手が減った最大の理由はフットボールのNFLの台頭であろう。

MLBは1軍ロースターが1チーム26人なので30チームで780人である。それに対してNFLは1チーム45人なので32チームで1440人になる。人数が倍近く多い分、それだけプロになれるチャンスは多い。またフットボールはアメリカ以外の国でほとんど行われていない。

そして、現在のMLBはどんなポジションでもこなせるユーティリティ・プレイヤーが求められているのに対して、NFLはオフェンスはオフェンス、ディフェンスはディフェンスと専門職にはっきり分かれている。

黒人の身体的能力および感情などを考えると、やはり野球よりフットボールの方が黒人向きであり、彼らもそちらを選択するのだろう。このために、もはやアメリカの高校や大学野球では黒人選手が全くいないチームがごく一般的になっているという。

こうなると、ジャッキー・ロビンソン、ハンク・アーロン、バリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲスといったアメリカ生まれの黒人選手はもう生まれないのだろうか。野球好きとしてはかなり寂しい・・・。



木曜日, 5月 26, 2022

N響第1958回定期公演Bプログラム(1日目)

昨日はサントリーホールで開かれたN響第1958回定期公演Bプログラム(1日目)を聴きに行った。指揮は先週に続いてファビオ・ルイージ。ピアノは小菅優。演目は下記の通り。

メンデルスゾーン/序曲「静かな海と楽しい航海」作品27
ラヴェル/ピアノ協奏曲 ト長調
※メシアン/前奏曲集から第1曲「鳩」
 〜 休 憩 〜 
リムスキー・コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」作品35
※はアンコール曲

1曲目のメンデルスゾーンの序曲は初めて聴く。これが清麗にして美しい曲。これまで数多くのオペラやバレエの序曲を聴いてきたが、この曲が取り上げられなかったのが不思議なくらい。メデルスゾーンらしいアップダウンのある弦と煌びやかな金管が鳴り響く。隠れた名曲だと思う。オペラに精通しているファビオ・ルイージには今後もこうした曲を紹介してもらいたい。

2曲目。小菅優は円熟期にあるような気がする。語弊があるかもしれないが第2楽章は自分のサガを出すところは思いっきり出し、第1・第3楽章の引っ込めると引っ込めるといった変幻自在の感情的抑揚には感心させられた。そのことによってフランス的なラヴェルというよりエスニック的というか時空を超えたラベルを堪能することができた。

3曲目。「シェエラザード」はアラビアン・ナイトの世界をモチーフに作られた曲だが、ファビオ・ルイージはこれに全く捉われることなく、コンマス篠崎史紀を先頭になんというか日本的というか江戸時代の風情を想像させるような古風な音色を次々と聴かせてくれる。そして、最後は1曲目の序曲と同じように静かに大海に船出するかのような姿をみせてくれる。これまで何度もこの曲を聴いてきたが、こんな印象を与えてくれた指揮者はルイージが初めてである。ルイージ恐るべし、であり、首席指揮者に就任する9月以降がとても楽しみになった。



日曜日, 5月 22, 2022

N響第1957回定期公演池袋Cプログラム(1日目)

NHKホール改装工事のためにNHK交響楽団(N響)は1年半にわたって池袋の東京芸術劇場で公演を行っている。東京芸術劇場というと東京の粗大ゴミ建築物の一つと言われた建物であり、ホールの音響も酷いものだった。しかし、10年前に改装されてからは音響も改善されて、以前よりずっとよくなった。ただし、この6月にはNHKホールの改装工事も終了なので、秋以降は行く機会は減るだろう。

さて、そんな東京芸術劇場にN響第1957回定期公演池袋Cプログラム(1日目)を聴きに行ってきた。指揮は9月に首席指揮者に就任するファビオ・ルイージ。ピアノはアレクサンドル・メルニコフ。演目は下記の通り。

モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
モーツァルト/ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K. 466
※モーツァルト/幻想曲ニ短調(k.397)
ベートーヴェン/交響曲 第8番 ヘ長調 作品93
※はアンコール曲

モーツァルトは不得手である。とにかく眠くなる。目を閉じるようになる。今回も目を閉じてはいけない、いけないと思いつつ聴いた。ピアノのアレクサンドル・メルニコフはどことなく学校の先生という佇まいというか、その弾き方も冷静沈着。音色も清風明月というか端正かつ流麗。それゆえに、やはり私の瞼は次第に閉じていく。やはり、モーツァルトは松任谷由実ではないが「瞳を閉じて」聴く方が穏やかな気持ちになる。

2008年にファビオ・ルイージのベト7を聴いた時にその躍動感というか炎のようなエネルギッシュな音色に驚いたが、今回も驚かされた。ベト8というとコンサートではほとんどメインになることのない交響曲なのだが、それをルイージはビールのコマーシャルではないが徹頭徹尾キレとコクのある演奏にした。こんなベト8は後にも先に聴いたことがない。ひょっとするとファビオ・ルイージは現存する指揮者のなかでも一二を競うベートーヴェン指揮者なのかもしれない。2年後ぐらいにはベートーヴェン・チクルスをやってほしい。


火曜日, 5月 17, 2022

大相撲五月場所9日目

昨日(16日)は両国国技館に大相撲五月場所9日目を観に行ってきた。今場所は混戦だ。8日目にして全勝力士はおろか1敗の力士もいない。つまり9日目に勝っても勝ち越し力士は誰もいないのである。ちょっと異常事態だろう。

それにしても、最近の大関は弱い。昨日も3大関のうち貴景勝、御嶽海は敗けて、3人の成績は貴景勝5勝4敗、御嶽海4勝5敗、正代3勝6敗で誰も優勝できそうにない。

こうなると、次の横綱は誰になるのか、さっぱり見えてこない。あと1年以上は照ノ富士の独り横綱が続きそうである。






日曜日, 5月 15, 2022

皐月恒例 さん喬十八番集成(さん喬選三夜の三夜)

昨日(14日)は日本橋劇場で開かれた「さん喬十八番集成・さん喬選三夜」の楽日(三夜目)を聞きに行ってきた。出演者と演目は下記の通り。

柳家小きち  「金明竹」
柳家さん喬  「片棒」
柳家さん喬  「明烏」
 〜 仲入り 〜
柳家さん喬  「唐辛子屋政談」

前座の柳家小きちは柳家さん喬の一番下の弟子。自衛隊幹部候補生あがりということもあり、メガネに角刈りというどことなく生真面目な雰囲気。語り口も「金明竹」で4回喋る「中橋の加賀屋佐吉の使い〜」という長台詞も謹直的。それでも、滑舌はしっかりしていているし、スピードや抑揚の変化は見事。3月に聞いたときより俄然進歩していて今後が楽しみだ。

柳家さん喬の1席目のマクラは自衛隊と前座の給金の違い。自分が前座の時の給金は1日100円で、自宅(吾妻橋)から目白の師匠宅までは都電が15円、上野から目白までの山手線が30円で片道45円かかったので、帰りは寄席のある上野や浅草からは歩いて帰ったと。こういう昔話は私は好きだし、若い落語家たちにさりげなく聞かせてあげているのは巧い。「片棒」は大店の主人が息子3人に自分の葬式はどのようにするかを問う噺。ただ、この噺はなぜか分からないが私はあまり得意ではない。

2席目のマクラは以前吉原にあった料亭松葉屋で行われた寄席の話。桂文楽、橘家圓蔵、三遊亭円生、柳家小さんなどが出演していた(さん喬師匠も出ている)と語る。そこから交番、柳、大門と続き「明烏」へ。「明烏」は田所町日向屋のウブな若旦那・時次郎が、遊び人の源兵衛と太助と吉原に行く廓噺。さん喬はここでは得意の心理描写、情景描写を発揮すると共に、数多く登場する人物を巧みに演じ分ける。なかでも源兵衛と太助、廓の女将の演じ方がニクい。さん喬は「幾代餅」「雪の瀬川」「三枚起請」など多くの廓噺を持っているがどれもこれも本当に素晴らしい。いまの落語界で彼の右に出る廓噺の話し手はいないと思う。

3席目のマクラは落語に出てくる若旦那の話。自分も洋食屋の息子だったので前座の頃は「洋食屋の若旦那」と言われたそうだ。そこから若旦那なの話なので「船徳」でもかけるのかなと思ったら「唐辛子屋政談」へ。これは一夜目にやっているのでちょっと驚かされる。師匠の意図はなんかあるのかなと思いながら聞いたが、前回と変わらなく終える。それとも私が見抜くことができなかっただけなのだろうか。




金曜日, 5月 13, 2022

皐月恒例 さん喬十八番集成(さん喬選三夜の二夜)

昨日(12日)は日本橋劇場で開かれた「さん喬十八番集成・さん喬選三夜」の二夜目に行ってきた。出演者と演目は下記の通り。

入船亭扇ぽう 「子ほめ」
柳家さん喬  「野ざらし」
柳家さん喬  「鴻池の犬」
 〜 仲入り 〜
柳家さん喬  「柳田格之進」

前座の入船亭扇ぽうは入船亭扇遊の弟子。この5月下席(21日)から名前を入船亭扇太と改めて二ツ目に昇進する。私は扇ぽうが前座に成り立ての頃から聞いているが、扇遊の弟子ということもあり、その実直さと素直さにずっと感心させられている。加えて、最近は芸の幅が広がったというか懐が深くなった。まだ童顔にして落語家としての風格はないが、将来は間違いなく一門だけでなく落語界に名を轟かせる存在になると期待している。

柳家さん喬の1席目のマクラは趣味の話、釣りの話。そして「野ざらし」へ。長屋に住む八五郎が隣に住む医者(隠居の場合もある)に昨夜は女性の声がしたと言って入ってきて、その後は向島に釣りに行くという少し取り留めもない噺。これまでに他の落語家で何度か聞いているが、私はあまり好きになれない。さん喬はフルバージョンを披露するが、やっぱり私にはこの噺は不向きであった。

2席目のマクラは多くの落語や江戸言葉は上方から来ていると話をすすめる。これはひょっとすると演目は「鴻池の犬」でないかと思ったらビンゴであった。「鴻池の犬」は上方落語の名作。それをさん喬が江戸風にアレンジして、私も2年前に浅草見番で聞いた時の感動は忘れられず、いつかもう一度聞きたいと願っていた。

本所にある乾物屋・角屋の小僧・定吉が3匹の捨て犬(クロ、ブチ、シロ)を育てる。しかし、そのうちの1匹クロが大阪の豪商・鴻池善右衛門にもらわれることになった。クロを一番可愛がっていた定吉は、クロがいなくなるとブチとシロを邪険するようになり、ブチは大八車に轢かれて亡くなってしまう。翌日悲観したシロは大阪にいるクロ兄を慕って江戸を出る。大阪への道中は”おかげ犬”(人に代わってお伊勢参りする犬)のハチと同行する。この時の道中はお囃子(太田その)が「箱根八里」などを入れてその様はとても楽しい。そして、伊勢へ行くハチと大阪に行くシロが別れる場面ではさん喬はその刹那さを“犬芸”で鮮やかに表現、思わず目頭が熱くなる。その後、シロは大阪でクロと再会するが、その大阪での他の犬たちとのやりとも絶品だ。

この噺をいま東京で演じているのはさん喬師匠だけだと思うが、いずれ柳家喬太郎をはじめとした弟子たちにも受け継いでもらいたい。

3席目はマクラなしで「柳田格之進」へ。囲碁仲間である柳田格之進と両替商・萬屋源兵衛が、源兵衛とその番頭の失態から発生する50両にまつわる約45分にもおよぶ大ネタ。さん喬はいつものように江戸の光景をはっきり見えるように語っていく。特に源兵衛宅の離れで碁を打つ場面、湯島で番頭が柳田格之進と再会する場面などは、昨日も書いたが後ろにある屏風に背景が映っているのではないかと思うぐらい、ものすごい情景描写である。この「柳田格之進」は多くの落語家が演じているし、私も聞いてきているが、着物を含めてその所作、語り口などすべてで彼に勝る人はいない。さん喬の「柳田格之進」を聞かずして、この落語は語るべからすである。

明日土曜は最後の三夜目となるが、さん喬師匠は何を披露してくれるのだろうか。楽しみである。



木曜日, 5月 12, 2022

皐月恒例 さん喬十八番集成(さん喬選三夜の一夜)

昨日(11日)は日本橋劇場で開かれた「さん喬十八番集成・さん喬選三夜」の一夜目を聞きに行ってきた。出演者と演目は下記の通り。

柳亭左ん坊  「やかん」
柳家さん喬  「千両みかん」
柳家さん喬  「寝床」
 〜 仲入り 〜
柳家さん喬  「唐茄子屋政談」

前座の柳亭左ん坊は柳亭左龍の弟子(=柳家さん喬の孫弟子)。私はさん喬を聞く機会が多いので前座は左ん坊が務めることが多い。これまで彼のいくつかの演目を聞いたが、当然ながら演目によって出来不出来は変わる。今回の「やかん」は残念ながら彼にはマッチしているように思えなかった。

柳家さん喬の1席目のマクラは師匠(5代目柳家小さん)と食べた美味しいものの話。19歳で福岡の料亭で食べた焼き松茸はさほどではなかったが、東京の有名店で食べた鰻は今でも忘れらないと。師匠と食べたからから美味しかったのだろうと師匠愛。その鰻から土用の丑の日の時期なのにみかんを食べたいという「千両みかん」へ。1席目ということもあるのかもしれないが、さん喬は情景描写などは控えるも、みかんを求めて走り回る番頭やそのみかんを食べる若旦那の心理描写は憎いばかり。まさに甘酢っぱい語りだった。

2席目のマクラは大師匠である黒門町(桂文楽)の話。師匠は義太夫好きだったとか。ということで、噺は「寝床」へ。私が最も聞いている落語家はさん喬であり、おそらくもっとも聞いている落語の演目は「寝床」だと思うが、さん喬の「寝床」を聞くのは実は初めて。これまで聞いた「寝床」との大きな違いは他の落語家では義太夫部分は適当に唸るだけだが、さん喬はちゃんとひと節ふた節入れる。この節を入れたことによって、ざわつく大店内の情景が浮かびあがる。鮮やかである。

3席目はマクラもそこそこに「唐辛子屋政談」へ。先日鈴本演芸場で春風亭一之輔の熱演を聞いたばかりだが、柳家さん喬の「唐辛子屋政談」はひと味もふた味も違う。一之輔師匠には悪いが、さん喬が江戸噺をすると後ろにある屏風に江戸の街並みや長屋の様がシルエットのように映るかのようだ。加えて、勘当された若旦那の心理描写の浮き沈みも見事に描く。感動と感服の一席だった。

最後にさん喬師匠は自身の企画で10月31日(月)に深川江戸資料館でお囃子衆8人を集めた催しをするとのこと。普段は舞台の袖(下座)にいるお姐さんたちに何をさせるのだろうか。本人はまだ何も考えていませんと言っていたが、ちょっと楽しみである。



水曜日, 5月 11, 2022

新版三人集@日本橋社会教育会館(一蔵、市弥、小辰出演)

昨日(10日)は日本橋社会教育会館で行われた春風亭一蔵、柳亭市弥、入船亭小辰による「新版三人集」を聞きに行った。

最初はトークから始まるのだが、ところが3人が登場するやいなや客席から「一蔵さん、痩せたねえ〜」のちょっと古びた黄色い声が。これには3人が「お客さんからトークが始まるは初めて」と。で、その一蔵は蝶花楼桃花の襲名興行での番頭仕事、自分の真打披露興行への準備、加えて九州での公演と大忙しでなんと12kgも体重が減ったとのこと。これには市弥、小辰だけでなくお客さんも納得。まあ、そんな大忙しいのに、彼のブログを見るとしっかり競艇はやっているようなので、まだまだ体力はありそうである。(笑)

ということで、出演者と演目は下記の通り。

入船亭辰ぢろ 「道具屋」
春風亭一蔵  「小言幸兵衛」
柳亭市弥   「あくび指南」
 〜 仲入り 〜
入船亭小辰  「木乃伊取り」

前座の入船亭辰ぢろは入船亭扇辰の三番弟子。「道具屋」は与太郎が伯父に変わって道具屋をやるというお馴染みの噺だが、辰ぢろは無難に話をすすめるが、なんか思い入れを感じない。噺の好き嫌いはあるかもしれないが、もう少し感情を込めてほしかった。

春風亭一蔵のマクラは弟子入りのときの裏話ゆえに割愛。「小言幸兵衛」は大家の幸兵衛が空いた部屋に入りたいという男たちを見定めながら、妄想をかき立てるというお噺。12kg痩せたとはいえ一蔵には既に噺家としての風格風情が備わっている。加えて剛腕な引きというか、観客を手繰り寄せる力技も身につけている。そして、春風亭一朝一門ということもあり、品位を落とすことはしない。豪放磊落のように見えて、これだけ痩せるのだから本当は胆大心小の人なのだろう。将来が本当に楽しみだ。

柳亭市弥のマクラは名古屋の大須演芸場で会った漫才のダイノジや曲芸独楽の柳家三亀司師匠の話。「あくび指南」は熊五郎があくび指南所に行くという噺。この噺、話の内容はシンプルなのだが、演じるのは難しいので聞ける機会は意外に少ない。そんな噺を意外にもといっては失礼だが、さほど器用でない柳亭市弥がちょっと粗忽ながらも展開していく。しかし、この開き直った馬鹿馬鹿しさが次第に全開になり、話を盛り上げる。そして、色気も加えて噺に広がりをもみせる。なんか市弥の新たな一面をみた思いだった。

入船亭小辰はマクラもそこそこに本題へ。「木乃伊取り」は田所町に住む大店の若旦那が吉原の角海老に5日間も入り浸りなり、弱った大旦那は番頭の佐兵衛が迎えに行かせるが帰ってこない。続いて鳶職の頭が迎えにいくが帰ってこない。最後は飯炊きの清蔵が行くがこれまた木乃伊取りになるという噺。小辰は二ツ目のなかでは抜群の実力の持ち主。ただ、感情の出し方が醒めているのが少し難があるが、この噺では顔を真っ赤にしながらの大熱演。これならば、大名跡入船亭扇橋をしっかり継いでいくに違いない。

最後に、この日配られたパンフには主宰(オフィスエムズの加藤さん)の3人の寸評・苦言と今後への期待などが書かれていた。ある落語家が「加藤さんほど落語を愛していて落語家を知っている人はいない」と言っていたが、その加藤さんに可愛がられている3人は幸せ者である。