昨日(14日)は日本橋劇場で開かれた「さん喬十八番集成・さん喬選三夜」の楽日(三夜目)を聞きに行ってきた。出演者と演目は下記の通り。
柳家小きち 「金明竹」
柳家さん喬 「片棒」
柳家さん喬 「明烏」
〜 仲入り 〜
柳家さん喬 「唐辛子屋政談」
前座の柳家小きちは柳家さん喬の一番下の弟子。自衛隊幹部候補生あがりということもあり、メガネに角刈りというどことなく生真面目な雰囲気。語り口も「金明竹」で4回喋る「中橋の加賀屋佐吉の使い〜」という長台詞も謹直的。それでも、滑舌はしっかりしていているし、スピードや抑揚の変化は見事。3月に聞いたときより俄然進歩していて今後が楽しみだ。
柳家さん喬の1席目のマクラは自衛隊と前座の給金の違い。自分が前座の時の給金は1日100円で、自宅(吾妻橋)から目白の師匠宅までは都電が15円、上野から目白までの山手線が30円で片道45円かかったので、帰りは寄席のある上野や浅草からは歩いて帰ったと。こういう昔話は私は好きだし、若い落語家たちにさりげなく聞かせてあげているのは巧い。「片棒」は大店の主人が息子3人に自分の葬式はどのようにするかを問う噺。ただ、この噺はなぜか分からないが私はあまり得意ではない。
2席目のマクラは以前吉原にあった料亭松葉屋で行われた寄席の話。桂文楽、橘家圓蔵、三遊亭円生、柳家小さんなどが出演していた(さん喬師匠も出ている)と語る。そこから交番、柳、大門と続き「明烏」へ。「明烏」は田所町日向屋のウブな若旦那・時次郎が、遊び人の源兵衛と太助と吉原に行く廓噺。さん喬はここでは得意の心理描写、情景描写を発揮すると共に、数多く登場する人物を巧みに演じ分ける。なかでも源兵衛と太助、廓の女将の演じ方がニクい。さん喬は「幾代餅」「雪の瀬川」「三枚起請」など多くの廓噺を持っているがどれもこれも本当に素晴らしい。いまの落語界で彼の右に出る廓噺の話し手はいないと思う。
3席目のマクラは落語に出てくる若旦那の話。自分も洋食屋の息子だったので前座の頃は「洋食屋の若旦那」と言われたそうだ。そこから若旦那なの話なので「船徳」でもかけるのかなと思ったら「唐辛子屋政談」へ。これは一夜目にやっているのでちょっと驚かされる。師匠の意図はなんかあるのかなと思いながら聞いたが、前回と変わらなく終える。それとも私が見抜くことができなかっただけなのだろうか。
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