この日の番組は今回の披露興行の番頭を務める二ツ目の春風亭昇羊(粗忽長屋)、コントの青年団(病院長と葬儀屋)、三遊亭小笑(悋気の独楽)、桂伸衞門(老人ホームごっこ)、奇術のポロン、滝川鯉斗、滝川鯉枝、漫才の三拍子(山手線)、桂米助、春風亭昇太(看板のピン)が出演して、まずは披露口上前の客席を盛り上げる。
このなかで、特筆すべきは桂伸衞門の「老人ホームごっこ」。公園で遊ぶ9歳のタケシくんと70歳の初老の老人(田中さん?)がタイトル通りのお遊びをするという噺で、観客を交えたグーパー体操を入れるなどの意欲的な新作落語。この噺、最初にオチを言ってしまうのだが、それでも思わず聞きいってしまう。桂伸衞門は二ツ目(桂伸三)のときに何度か聞いたことがあるが、彼がこんな面白い新作落語を演じると思いもしなかった。今後はシュールな新作をどんどん披露してもらいたい。
披露口上は下手より司会の桂伸衞門、滝川鯉昇、春風亭柳雀、春風亭昇也、春風亭昇太(落語芸術協会会長)、桂米助と並ぶ。口上では昇太が昇也の娘7歳が来ているので、弟子なのに今日は持ち上げる、と。(笑)最後はお手を拝借で3本締め。
口上後は漫談のねづっち、昇進の春風亭柳雀が「疝気の虫」、滝川鯉昇、曲芸のボンボンブラザース、そして、トリに真打の春風亭昇也が「おみたて」を演じる。
春風亭柳雀は入門が遅かったせいもあるせいか、その様相はすでに真打風格。落ち着いた語り口ながらも、ハメを外す時もしっかり観客の様子も見ながら演じていてとても冷静沈着。古典落語の王道を歩んでいってもらいたい。一方、春風亭昇也は底抜けに明るい。その明るさは昨年真打に昇進した桂宮治に通じるものがあるが、昇也は宮治ほどデジタル的というかテレビ的ではない。昇也はアナログ的というかマンガチックな感じがする。それゆえに、大衆的な受けはないかもしれないが、マニアック的というか演芸ファンというか通受けする噺家になるに違いない。その意味においては、"成金メンバー"のなかでは一番凄みを持っているのではないだろうか。大いに期待している。
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