日曜日, 5月 22, 2022

N響第1957回定期公演池袋Cプログラム(1日目)

NHKホール改装工事のためにNHK交響楽団(N響)は1年半にわたって池袋の東京芸術劇場で公演を行っている。東京芸術劇場というと東京の粗大ゴミ建築物の一つと言われた建物であり、ホールの音響も酷いものだった。しかし、10年前に改装されてからは音響も改善されて、以前よりずっとよくなった。ただし、この6月にはNHKホールの改装工事も終了なので、秋以降は行く機会は減るだろう。

さて、そんな東京芸術劇場にN響第1957回定期公演池袋Cプログラム(1日目)を聴きに行ってきた。指揮は9月に首席指揮者に就任するファビオ・ルイージ。ピアノはアレクサンドル・メルニコフ。演目は下記の通り。

モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
モーツァルト/ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K. 466
※モーツァルト/幻想曲ニ短調(k.397)
ベートーヴェン/交響曲 第8番 ヘ長調 作品93
※はアンコール曲

モーツァルトは不得手である。とにかく眠くなる。目を閉じるようになる。今回も目を閉じてはいけない、いけないと思いつつ聴いた。ピアノのアレクサンドル・メルニコフはどことなく学校の先生という佇まいというか、その弾き方も冷静沈着。音色も清風明月というか端正かつ流麗。それゆえに、やはり私の瞼は次第に閉じていく。やはり、モーツァルトは松任谷由実ではないが「瞳を閉じて」聴く方が穏やかな気持ちになる。

2008年にファビオ・ルイージのベト7を聴いた時にその躍動感というか炎のようなエネルギッシュな音色に驚いたが、今回も驚かされた。ベト8というとコンサートではほとんどメインになることのない交響曲なのだが、それをルイージはビールのコマーシャルではないが徹頭徹尾キレとコクのある演奏にした。こんなベト8は後にも先に聴いたことがない。ひょっとするとファビオ・ルイージは現存する指揮者のなかでも一二を競うベートーヴェン指揮者なのかもしれない。2年後ぐらいにはベートーヴェン・チクルスをやってほしい。


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