5月29日午後2時20分。予定より10分前に耳鼻咽喉科診察室前の待ち合い椅子に座った。これから始まるであろう、手術を想像して、口を大きく開けて、顎の伸びがいいようにしたりする。冷静を装いつつも、やはり落ち着かなかった。
午後2時30分。定刻に看護婦さんに呼ばれて診察室に入る。まずは診察室横の部屋で、麻酔の吸入を行った。急須のようなガラス器のなかから煙がでている。それを口から吸引して鼻から出すという作業を2分30秒計4回10分間行う。このおかげで、口のなかはすっかり麻痺する。舌を指でつついても感触がない。
診察室に入ると、先生が口を開いて「ちょっと痛いかもしれないけど」と言って、口の奥の方に小さな注射を打った。おそらく麻酔だろう。しかし、全然痛くない。先ほどの麻酔が効いていたからだろう。
ここから手術開始である。診察台を少し傾けて、私は口を大きく開き、先生は口のなかを覗き込みながら長い細い棒を入れて、扁桃腺の中にある石を取り出そうとする。私は肩の力を抜きつつ、口を大きく開けつづける。先生がもつ棒が石を掴んでいる感触はわかる。しかし、なかなか取り出せない。口のなかに唾液が溜まってしまったので、それを出す。同じことをもう一度繰り返した。
「すぐそこまで見えているんだけどね〜」
「先生、頑張りましょう。私は打たれ強いから、平気ですよ」
先生はいくつかの器具を変えながら、またトライする。しかし、なかなか取り出せない。手術を始めてから10〜12分が経ち、先生の額に汗がうっすら浮かびはじめたときに、ちょっとした痛みが走った。「取れた〜。大きいなぁ」と先生は笑みを浮かべながら言って、赤黒く光る石をライトにかざして見ていた。その大きさはどう見ても4〜5ミリはあり、先生はそれを標本にするべく、小さな器にホルマリン付け(?)にした。
私はすぐに口をゆすいだが、ほとんど出血はなかった。また、痛みもさほどなかった。ただ、やはり緊張したせいか、それとも麻酔のせいか、しばらく控室にあるベッドで横になった。しばらくして、麻酔が切れてくると共に、目の前の視界がクリアになっていく感じで、口のなかにも感触ももどってきて、少しずつ痛みを覚えるようになってきた。
さて、石についですが、結石とは病原菌の墓場みたいなもののようで、その墓場にカルシウムなどが付着して塊となるようです。結石は墓場ゆえになるべく外に排出しやすい尿路や唾液線(顎下腺)にできることが多く、扁桃腺にできるのはやはり珍しいみたいです。
私は冬場に咽喉を痛めないために朝晩うがいをしていますが、これからは冬だけでなく、いつでも歯を磨いたあとはうがいをするようにするつもりでいます。もう、二度とこんな手術はしたくはありませんので。
誕生日に手術したのはもちろん初めてだが、酒抜きの誕生日も小学校以来でした。(笑)
4 件のコメント:
胆石はやりましたけど、喉の石とは……。いろいろ珍しい体験をしてるようで。大事にならずによかったですね。ご自愛ください。
想さんへ
この2年で左肩蕀上筋断裂、左精巣上体炎、そして扁桃結石と珍しい怪我や病気になりました。病院通いは完全に飽きました。
扁桃腺結石を検索していたら、このブログにたどり着きました!!はじめまして。もうかれこれ3年間扁桃腺結石に悩まされている者です…。私の主治医は手術に反対派で、腫れては薬を飲むの繰り返しで正直しんどいです(;;)珍しい病気なので、同じ病気を経験した方がいて心強くなりました。
とはいえ、ぜひともお体お大事にしてくださいませ。
チコなっくるさんへ
扁桃腺結石、半年近く苦しみました。のどスプレーの毎日でしたが、結石を取ってからは快調です。人によっては扁桃腺を切ってしまう人もいるようですから、私はラッキーでした。
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