月曜日, 1月 11, 2010

「やぶ医者」の語源とその意味

世間的に「やぶ医者」とは下手クソな医者のことを意味するが、私にとっては医療機材にあまり頼らず、どんな病気でも診てくれる医者がヤブ医者だ。昭和30年代の町医者のほとんどは軍隊帰りの医者で、1人で内科だろうが外科だろうがなんでもかんでも診察した「やぶ医者」だった。

さて、その「やぶ医者」という語源だが、これには諸説いろいろある。もっとも有力な説は、江戸時代に田舎で祈祷や呪術で治療(?)をしていた「野巫医者(やぶいしゃ)」がそのまま「やぶ医者」となったと言われている。次に有力な説が単純に「野暮な医者」が訛って「やぶ医者」になった説だそうだ。

しかし、私はこうした説よりも、薮蚊のようにあっちこっちと東奔西走した医者が「やぶ医者」の語源という説だ。江戸時代、腕のいい高名な医者は武家屋敷や金持ち商人しか治療に行かず、庶民のところに来てくれる医者さほど高名な医者ではなかった。そうした町医者は風邪が流行ると、裏店の長屋だろうが、河岸の掘っ立て小屋であろうと、薮蚊のように働いたという。そこで「やぶ医者」という言葉生まれたという説である。

この他に「藪井竹庵」という下手な医者がいて、その名前から「やぶ医者」になったとする説もあるが、この「藪井竹庵」という名は落語などで使われるだけで、実在した医者ではないという。

いずれにしても「やぶ医者」の語源は定かではない。ということで、私のなかでは「やぶ医者」は昭和30年代のようにどこにでも往診に出向き、どんな病気を診てくれる医者で、とても下手な医者という意味には当てはまらない。

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