今の時代はどうか知らないが、ひと昔前(1960年代から70年代)は中学生になると、それまで持つことができなかった(許されなかった?)ものをいくつか持てるようになり、中学生になった喜びを噛み締めたものだった。例えば、腕時計、萬年筆、革靴といったものがそのいい例だが、私が嬉しかったのはボールペンだった。
というのも、私は最初に買って貰ったペリカン製の萬年筆をうまく使いこなせなかったのである。萬年筆の筆感というのは不思議なもので、滑らかなときもあれば、時にキュッと引っかかるようなところがある。また筆圧によって太さや細さが微妙に変化する。もちろん、それが萬年筆の良さであり味なのであろうが、残念ながら私はそうした味を覚えることなく、中学生の頃からボールペンを多用した。
私が最初に使ったボールペンはおそらく国産のものだったと思うが、中学2年生頃に手にしたクロスのボールペン(センチュリー・ボールペン)は滑らかに濃く文字が書けたので嬉しくてたまらなかった。それからというものの、萬年筆は完全に引き出しの奥に“お蔵入り”してしまい、ボールペン愛好者となった。
今日ではパソコンのためにボールペンを使う機会が極端に少なくなってしまったが、それでもいろいろなボールペンを愛用している。
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