土曜日, 11月 30, 2013

特定秘密保護法に反対する

特定秘密保護法は「防衛」「外交」「特定有害活動」「テロ」の四分野の秘密を漏らした人およびそれを知ろうとする人を罰するという法案である。一見、我々の生活には何の関係がないものと思われる。しかし、この特定秘密を誰が指定するのであろうか。どのようなことまでを指定するのだろうか。そうしたことはほとんど決まっていない。

例えば、原発のことである。原発は「テロ」の対象物件になりうるので、原発に関することは特定秘密になりうる。そのために、原発のことを知ろうとしたり、いま廃炉にしようとする過程を知ろうとすることが罰せられる可能性がある。

例えば、自衛隊のことがある。自衛隊に関することはすべて「防衛」に関わるということで、自衛隊内部に何が起きているか、何をしようとしているかを漏らしたり、調べたりしたりすると罰せられる可能性が大である。

例えば、「外交官」である。もし、この法律ができれば外交官は60年間に渡って自分が関った仕事の内容を公開することができない。つまり、これは外交官になった以上は死ぬまで、すべての公務に関することは話してはならない、と言っているようなものである。もちろん回顧録など書けないだろう。

例えば、何かわけの解らないことをする集団があるとする。これらは知らないうちに誰かによって「特定有害活動」に指定されることがある。それはストリートダンスかもしれない。それは宗教活動かもしれない。それは原発反対活動かもしれない。つまりいったい何を特定有害活動と指定するのかが解らないのである。

この法律が出来ることによって、「防衛」「外交」「特定有害活動」「テロ」の四分野のことに関わる人々が萎縮し、自由な発言ができなくなる。同じように、これらを調べようとする人々も萎縮してしまう。つまり、特定秘密保護法というものは表現の自由を制約、萎縮させる、とんでもない法律なのである。法律というものはいくらでも拡大解釈することができる。このことによって、知らないうちに我々の生活をおびやかすこともありうるのである。

情報公開を遅らせるばかりか、この法律ができれば政府はどのようなことでも国民に隠すことができてしまう。そうなると、国会の答弁で「自衛隊の予算は特定秘密ですので公開できません」なんて言い出しかねない。ここまで酷い答弁はありえないかもしれないが、間違いなく似たような答弁は行われることは間違いない。

情報公開に蓋をし、表現の自由を脅かし、強権政治、監視国家(警察国家)を作りかねない特定秘密保護法に私は断固反対する。そして、この法案が廃案になること願ってやまない。

水曜日, 11月 27, 2013

カニは名前からして偽装表示な食べ物だ

阪急阪神ホテルズに端を発したメニュー偽装表示問題も少しひと段落したようだが、考えてみれば偽装表示なんていうのは今に始まったことではなかった。「日本中国料理協会」も海老の表示に関してはかなり曖昧だったと認めていて、「シバエビ」は小さな海老の俗称として使われていたと。そして、今後は海老は「エビ」か「小エビ」で表示するようにするという。

そもそも英語でも海老はshrimp(小エビ)かprawn(普通サイズのエビ)と言うぐらいで、あとはlobster(大きいエビ)ぐらいしか単語がない。それゆえに伊勢エビもロブスターも大きな海老はみんなlobsterと一緒になり、日本のようにサクラエビ、シバエビ、ブラックタイガー、車エビなどと細かに言う習慣はまったくない。

考えてみれば、タラバニガニなんて名前そのものから偽装表示のカニもいる。あれはタラが取れる漁場(バ)で獲れるカニもどきということでタラバガニという名前がついているが、生物学的にはカニではなくヤドカリ科に属する生物である。このことは英語でも同じで、king crabと呼ばれていて、これではヤドカリもカニになってしまう。

しかし、このタラバニガニを偽装表示しているカニもいる。アブラガニだ。アブラガニは体形もタラバガニとほとんど一緒だし、味もさほど変わりがない。唯一の違いは漁期でアブラガニが1月から6月にかけてなの対して、タラバガニは7月から12月とまったく異なる。ただ、昨今は冷凍技術が発達しているので、消費者はどちらがいつ獲れたかなど解らない。それゆえに、アブラガニをタラバガニと売られても皆目見当がつかない。加えて、築地などでは蟹の甲羅だけを売っていたりするので、お店でタラバガニの甲羅にアブラガニを入れて、蟹の甲羅焼きと言って出されたら、もう偽装表示なのかそうでないのかすら解らなくなってしまう。

海老や蟹を食べるときは、最初からこれは偽装表示の食べ物なんだなと思って、食べるしかないのかもしれない。

金曜日, 11月 22, 2013

日本のワインの進化に“驚き桃の木葡萄の木”

私は日本酒に関してはちょっとウルサいが、ことワインとなると全くの無知で、フランスへ行ったこともなければ、ボルドーがどの辺の地方なのかすら知らない。またボルドーとブルゴーニュの瓶の違いは知っていても、中味の違いなど解らない。

私が家で飲むワインは安いカリフォルニアかチリのものばかりで、フランスワインなどめったに口にすることはない。それゆえに、一流のレストランに行ってもいつも同行者もしくはソムリエの意見に従い、それに応じるようにしている。しかし、先日行ったレストラン(レフェルヴェソンス)ではちょっと私のわがままを通した。

「今日はちょっと日本のワインを飲んでみたいんだけど、どうかなあ」と私が声をかけると、同行者は「え〜、日本のワインに挑戦するの〜、それも赤?」と怪訝そうな顔。続けて「白なら解るけど、赤は・・・」とまったく乗り気でない。そこで、私が「今日飲んでみたいワインは、実はそこで日本酒も作っていて、これが絶品なんだよ」とか「手に入れるのも大変なワインなんだよ」と誘ってみたものの、彼女はまだ乗り気にならない。

そこでソムリエに小布施ワイナーのソガについて尋ねてみると、彼は次ぎから次へと語る、語る。「ソガさんはかなりこだわりを持っている方のようです」「おそらく年間3000本ぐらいしか出荷しない小さなワイナリーで入手するのも大変なんですよ」「私どもも1年に6本入るか入らないかです」「ワイナリーは家族経営みたいなところのようで、葡萄も自分で育てて、まさに手造りのワインです」「弟さんも北海道でワインを造られているみたいです」などなど。

とソムリエの力強い言葉に、同行者もやっと納得して「ドメーヌ・ソガのカベルネ・フラン2009」を頼み、私がまずテイスティングをした。ところが、一口目を口にした瞬間「じぇ、薄い」と思わず口にしてしまった。ところが、二口目三口目と口にすると唇などに残っていた渋みが重なりあっていき、二重三重とハーモニーのように美味しさが重なりあい、それがふくよかな香りと共に口のなかに広がっていき、楽しい気分にしてくれる。そして、彼女も飲むうちに「料理に合うし、美味しいわね」と納得してくれたようであった。私は心のなかで「一流のフランス料理店でワインリストに入れているのだから、美味しいに決まっているだろう」と思っていたが。(笑)

さて、日本のワインはこの2〜3年でとても美味しくなっていると言われる。上記の小布施ワイナリーのようにこだわりを持ったワイナリーがあちこちに出来てきたからであろう。ソムリエの話では、山梨県の八ヶ岳近くにあるワイナリー「BEAU PAYSAGE(ボーペイサージュ)」も品質も高いワインだとすすめてくれた。

日本のウイスキーが「Japanese」として世界に認められるようになるまで100年かかった。ワインも同じように世界に「Japon」として認知されるまでにあと何十年かはかかるだろう。もしそうなったりすると、生産量に限りがあるから、相当価値のあるワインになるのではないだろうか。そうなって欲しいためにも、これからは機会があれば日本の美味しいワインを飲んで応援していきたいと思う。

水曜日, 11月 13, 2013

ジュビロ磐田がJ2に降格した理由

ジュビロ磐田がJ1からJ2へ降格することが決まった。1994年にJリーグ(現在のJ1)に昇格、1997年、1999年、2002年と3度の優勝を誇る名門チームだったが、来年はJ2でプレイすることになってしまった。このジュビロ磐田が降格した理由は、決定力不足だの、1点差ゲームに弱いだの、リーダー不在だのといろいろ言われているが、私はこうしたチームのソフト面だけでなくハード面、特にスタジアムに問題があるのではと思っている。

現在のJリーグで創設以来J2に降格したことがないチームは、鹿島アントラーズ、横浜Fマリノス、清水エスパルス、名古屋グランパスエイトと4チームだけである。これらの4チームは横浜を除けばサッカー専用競技場(もしくはラグビーとの兼用競技場)をフランチャイズにしている。鹿島は40,000人収容のカシマスタジアム、清水は20,000人収容の日本平競技場、名古屋は45,000人収容のトヨタスタジアムと、鹿島と名古屋は30000人以上のある意味国際基準をクリアした競技場でプレイをしている。こうしたチームは観客動員も多く、その目線が厳しいこともあり、選手たちのモチベーションも高く常に上位争いをしている。

ところが、ジュビロ磐田はどうだろうか。フランチャイズのヤマハスタジアムの収容人員は15,000人と少ない。また併用しているエコバスタジアムは収容人員は50,000人と大きいが、陸上競技場でもあるためにピッチと観客席は遠く、選手とサポーターの一体感がある競技場とは言えない。これでは低迷して降格するのも仕方がないのではないだろうか。加えて、来年もJ2で苦戦を強いられそうな気にもなる。

というのも、昨年J2に降格して1年でJ1に復帰が決まったガンバ大阪には、復帰へ繋がる要因がいくつかあった。まず、遠藤、今野という日本代表選手が擁しているという存在感の強さがあった。そして、何よりも強かったのは2015年秋完成予定の4万人収容のサッカー専用競技場でプレイするんだという選手およびサポーターの確固たる意志があったからではないだろうか。

浦和レッズは2000年に一度J2に降格したことがあるが、翌年からは63,000人収容のサッカー専用競技場さいたまスタジアムをフランチャイズにして2003年に優勝。それからは降格圏内に入ることなく安定したチームになっている。おそらく、ガンバ大阪にしても浦和レッズを手本に自前のサッカー専用競技場をもつことによって2度と降格するようなチームにはならないような気がする。

さて、ジュビロ磐田である。現在の主力選手たちの来年の動向はまだはっきりしていない。またガンバ大阪のように30,000人収容以上のサッカー専用競技場を作る計画や、現在のヤマハスタジアムを大幅に改修するといった計画はない。これでは浦和レッズやガンバ大阪のように1年でJ1に復帰する可能性は薄いのではないだろうか。

他のチームにしても、もしJ2に降格したくないならば、ソフト面とは別にハード面にも力を入れて、3万人以上収容のサッカー専用競技場を作るべきである。

火曜日, 11月 12, 2013

美食日記「レフェルヴェソンス」(西麻布)


“レフェルヴェソンス”とは泡が弾けるという意味で、ものごとを生み出す、活気が漲るといった意味もあるそうだ。そんな名前とコンセプトがぴったりのレストランが西麻布(高樹町)の閑静な住宅街のなかにある。アクセスとしては地下鉄の六本木、広尾、表参道のちょうど中間ぐらいにあり、どこの駅からも少し歩くので、渋谷から都バスの新橋行き(都01)で「南青山7丁目」で降りるのが無難ではないだろうか。

お店に入ると黒いソファーのあるウエイティング・ルームに案内され、ほんの2〜3分してダイニング・ルームへ。ダイニングルームはとても広く、入って左手の全面ガラス張りの窓の外にはライティングされた樹木があり、その向こうには六本木ヒルズが見えたりする。テーブル間のゆとりは申し分なく、満席でもおそらく隣席の声が気になることはまずないだろう。窓の反対側には3名用(?)の半個室的なブース席もあり、ちょっとした密談(笑)をするにはいいかもしれない。また階下には数名から10名ぐらいまでの個室もあり、内輪のお祝い事などに利用できそうである。

さて、この日のメニューは下記の通り。なんと全13品。

・2種類のグリーンオリーブ
・テット・ド・コション、さつまいも、黒トリュフ、みかんを2口で
・アップルパイ#11〜
  短角牛テール、里芋、コンデを3口で
・焼き鱧とリ・ド・ヴォーのポワレ、
 海老香る甲殻類とジュと冬瓜、ディル、オリーブオイル
・定点〜(写真右上)
  丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション、
  バスク黒豚のジャンポンセック&ブリオッシュ
・秋の悦び〜
  稲藁で燻した戻り鰹、クレームドシャンピニオンと鰯いしる&黒酢のレデュクション、
  辛味大根、ジロール、紫蘇の花
・秋の色#2〜(写真左下)
  フォアグラのナチュラルと珈琲のレデュクション
  バターナッツ南瓜のピュレ、丹波の黒豆、あんず、春菊
・右と左で〜
  金宣烏龍茶
・熊野地鶏の胸肉を炭火で炙って、牛蒡のピュレ、法蓮草、銀杏、むかご、柚子の香り(写真右下)
・厳選チーズ あるいは 時季のお野菜(写真左下)
・栗のブリュレのかけら、ラムレーズンアイスクリーム、山ぶどうのジュレ、オリーブオイルの蒸しパン
・ジンジャーミルクムースとダージリンアイスクリーム、リンゴ寒天と塩漬けレモン
・カフェ・紅茶 ミニャルディーズ

どれもこれも美味しい。美味しさに加えて、シェフの気概というか哲学がどの料理にも注がれている。よく「料理は愛情だ」だと言ったりするが、ここの料理は少し固く感じられるかもしれないが「料理は哲学だ」という気がする。つまり、どの料理にしてもシェフがこれまで料理人として培ってきた経験とアイデア、そして一人の人間としてのポリシーが気持ちとなって表されている。

最初の3品は食感と遊び心を楽しむ料理で3品目のアップルパイは某ファーストフードで売られているアップルパイを再現したものでシェフの童心の思いが込められている。

4品目から7品目は前半のメインディッシュ。「焼き鱧」は香ばしい食感で飲兵衛にとっては贅沢な一品で言うことなし。「定点〜」の蕪料理はシェフのスペシャリテで、60度で4時間かけて調理したものだそうで、繊維質を残しながらもほんのり甘みのある味わいは絶妙。蕪に対する概念を根本から覆された気持ちになった。次の「秋の悦び〜」はきのこのソースが少し濃い目なのだが、これを鰹につけて食べてみると、鰹の臭みが消えて、逆に脂とうまく融合していき、不思議な味わいを楽しめた。これも飲兵衛には堪らない。「秋の色#2〜」はフォアグラがメインというよりソースという感じで、どの野菜とのコノンビネーションが自分にフィットするか、その組み合わせを楽しむ料理。私はフォアグラを春菊で巻いて少し珈琲をつけて、それをあんずの上に乗せて食べるのが一番美味しかった。(笑)

8品目の「金宣烏龍茶」は箸休めというか休憩といった感じで、1つのカップで2つの金宣烏龍茶の味わいを楽しむことができる。

9品目と10品目が後半のメイン料理。「熊野地鶏の胸肉」は左下から右上に食べていくことによって、炭火の香ばしさと共に地鶏がもつ引き締った味わいをいろいろな風味で堪能するという心ニクい一品である。「時季のお野菜」は写真でも分かるようになんと50種類以上(この日は62種類)の野菜を味わうことができるというもの。全国各地のこだわり野菜農家の人たちが作ったものなので、それはそれは瑞々しく大変美味しく、生産者たちへの感謝の気持ちを持たざるをえなくなる。この料理は「厳選チーズ」との二者択一のメニューだったが、もし食べる機会があれば、ぜひともこちらをチョイスしてもらいたい。生産者の名が連なっているリストが貰えるので。

11品目から13品目まではデザートといった感じであろうか。これらも大変美味しく、最後のミニャルディーズには隠しものが入っていた。

私と同伴者が共に話好きということもあるが、ソムリエ兼マネージャーの大岡洋一さんやシェフの生江史伸さんとはいろいろな話をさせていただいた。そのせいもあって、今回はなんと5時間もかけて料理を堪能することになってしまい、またもやレストラン滞在時間記録を更新してしまった。こうなると、もはや超大作のオペラを観劇したという感じで、前述に書いた「哲学」に加えて「芸術」の領域に入っているのかもしれない。

どうやら私的ミシュランガイド3番目の三ツ星レストランに出会ったようである。トレビア〜ン!  マニフィック! 帰り際にはこの日飲んだワイン(このことについては後日また書く)のラベルをプラスチック・クオーティングしてくれたものを記念にいただいた。メルスィ・ボク。

レフェルヴェソンス
http://leffervescence.jp/