コロナ禍前まで月に1回開かれていた学芸大学のチョロキー寄席。そのチェロキー寄席に出演していた二つ目がこの2年で相次いで真打に昇進。桂伸三は桂伸衛門に、春風亭正太郎は九代目春風亭柳枝、そして、今度は柳亭市弥が八代目柳亭小燕枝に、入船亭小辰は十代目入船亭扇橋を襲名することになった。
正太郎が62年ぶりの大名跡・九代目柳枝を襲名するときも驚かされたが、小辰が十代目扇橋を襲名するのも驚かされる。先代が亡くなったのが今から6年前のことで、扇橋はしばらくは空き名跡になると思っていた。ところが、先代の弟子たちの推挙もあり十代目を襲名することになった。おそらく総領弟子の入船亭扇遊の相当な後押しがあったのではないだろうか。
一方、市弥が襲名する柳亭小燕枝も大名跡とはいわないまでも明治初期から受け継がれている名跡。市弥自身も言っているが、色っぽい名前で彼にピッタリである。彼の落語は決して上手いとはいえないが、なんというか色香というか妖艶性がある。今後はこうした特性を生かして、小燕枝という名を大きくしていってもらいたい。
そして、2人と一緒に真打昇進する春風亭一蔵は名を変えることなく一蔵のままに真打になる。これは春風亭にはこれといった空き名跡がなかっただけでなく、あの体格、そして語り口からすれば、一蔵という名を彼自身が大きくしていくのが妥当だろう。彼の力を持ってすれば一蔵がいずれ名跡になってもおかしくない。
それにしても、つい何年か前までは二つ目でいずれは真打になるかなあぐらいと思っていた人たちが来年にはみんな真打である。感慨深い。今後も彼らを応援すると共に彼らに続く二つ目たちも応援したいと思う。
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