水曜日, 9月 14, 2022

新美南吉の童話「あめ玉」を創作落語にした柳枝百貨店赤坂支店

昨日(13日)は赤坂会館で開かれた「柳枝百貨店赤坂支店」を聞きに行ってきた。出演者と演目は下記の通り。

春風亭枝次  「雛鍔」
春風亭柳枝  「片棒」
春風亭柳枝  「あめ玉」
 〜 仲入り 〜
春風亭柳枝  「茶金」

私にとって昼の落語会はちと辛い。というのも、私は普段昼寝をする習慣があるので、午後1時30分開演という落語会は眠くてたまらない。開口一番を務めた春風亭枝次は春風亭百栄の弟子で、11月上席より二ツ目に昇進する。そんな枝次だがいきなり「柳枝師匠はただいま鈴本演芸場を出てこちらに向かっております」と業務連絡。それまでの間、20分は務めろと。ということで、前座噺としては比較的長い「雛鍔」を一生懸命に披露。一方でこちらは睡魔との闘い。枝次さん、ごめんなさい。m(_ _)m

春風亭柳枝の最初のマクラは上野鈴本からここまで着替えずき他のだが、雪駄を持ってくるのを忘れてしまい、運動靴に着物は恥ずかしいので、鈴本の前座雪駄を借りて来たという。高座に上がる時に手拭いや扇子を忘れるという話は何度も見たことがあるが、雪駄を忘れたという話は初めて聞いた。「片棒」は自分の跡を誰に継がせるか迷った大店の旦那が、子供3人それぞれに自分の弔いをどうするかを聞くという噺。柳枝は三者三様の考察をコミカルに話すが、三人のキャラクター付けが弱いような気がする。

マクラは先週末(10日)に行われた三人集(一蔵、小燕枝、扇橋)の披露パーティの話。これも浅草演芸ホールでの寄席があるために中抜けして、帝国ホテルから浅草演芸ホールへ行って戻ってきたと。売れっ子というよりは律儀である。「あめ玉」は初めて聞く噺。渡し船に乗った子供二人が些細なことで喧嘩をするが、同船して居眠りをしていた浪人が飴玉を一刀両断で二つに分けて、二人の喧嘩を仲裁するという話。オリジナルは昭和初期に早世した児童文学者・新美南吉の童話だが、この話を創作落語にした試みは素晴らしい。柳枝は子供を演じるのが上手いので、このような童話を落語にするという試みは今後とも続けていってもらいたい。

仲入り後のマクラは出囃子の話。柳枝の出囃子は「都囃子」だが、この時は主宰のオフィスエムズの加藤さんの計らいで故・桂米朝師匠の出囃子(三下り鞨鼓?)が流されたので、出囃子のちょっとした裏話を。で、演目は米朝師匠が復活させたという「茶金」(はてなの茶碗)へ。流石に目黒っ子の喋る京都弁は多少の無理があるが、江戸出身の油屋八五郎(オリジナルは確か大阪出身)との対比で話を盛り上げていく。今日、この噺をかける東京の落語家はいっぱいいるが、柳枝ならではの味を醸し出す演目として作り上げていってもらいたい。




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