木曜日, 10月 27, 2022

来年もブロムシュテットを聴けるぞ N響第1967回定期公演Bプログラム(1日目)

昨日(26日)はサントリーホールで開かれたN響第1967回定期公演Bプログラム(1日目)を聴いてきた。ピアノはオリ・ムストネン。指揮はヘルベルト・ブロムシュテット。演目は下記の通り。

グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
ニルセン/交響曲 第3番 作品27「広がり」

1曲目。オリ・ムストネンは譜面を置いてのとても丁寧な演奏なのだが、なんかピアノ本体がいただけない。高音は妙にキンキンするし、低音は温かみも深みもない。これってピアニストの好みなのか調律師の問題なのか。いずれにしろ、30分間の演奏はどことなく表面的というか、慈しみというか愛らしさを感じることができなかった。

2曲目はおそらく初めて聴く曲。ニルセンはデンマークの作曲家。題名の「広がり」は広い世界へ歩んでいこうという前向きな姿勢の意味らしい。第1楽章は人間として生まれた意義を伝えているような楽章で快活で明るい。第2楽章はバリトン(青山貴)とソプラノ(盛田麻央)を入れて、生命の大切さと生きる喜びを表現する。第3楽章はスケルツォながらも人の葛藤を表現。第4楽章は人は前へ進んで歩いていくんだという「広がり」を表す。とにかくポジティブな人生を歩もうという曲であった。

そして、演奏ではあるが、指揮のブロムシュテットは先週のNHKホールでのシューベルトの時より指揮幅が広がり、以前のように手刀を切るかのようにキレッキレ。それはまるで「ニルセンは俺にまかせろ、俺についてこい」のようであり、オーケストラをグイグイと引っ張っていく。とても95歳とは思えない驚愕の指揮。

先日のシューベルトのときは、ブロムシュテットを聴くのは今年で最後になるかもしれないなあと感慨深げになってしまったが、昨日の演奏を聴くと、これは来年も聴けるぞ、に変わった。まさにタイトル通りの「広がり」を実践してくれたブロムシュテットだった。




火曜日, 10月 25, 2022

新宿末広亭10月下席・夜の部 春風亭柳枝初主任(初トリ)公演

昨日(24日)は新宿末廣亭で開かれている10月下席・夜の部(30日まで)4日目を聞いてきた。主任(トリ)は春風亭柳枝(27日は休演)。柳枝は真打昇進から1年半余で寄席のトリを務める。これはかなりの早さ。料金は通常は3,000円(シニア2,700円)のところ、下記のチラシ画像を見せると2,500円に割引される。500円(私は200円)とはいえかなりのお得感。是非ともご利用を。

出演者と演目は下記の通り。

林家木りん   「力士の春」
ホームランたにし(漫談)
柳家さん喬   「真田小僧」
三遊亭萬窓   「伽羅の下駄」
マギー隆司   (奇術)
桂ひな太郎   「三方一両損」
古今亭菊寿   「悋気の独楽」
翁屋社中    (太神楽)
柳家小満ん   「宮戸川」

 〜 仲入り 〜

古今亭志ん五  「魚男(つれない旅行)」
すず風にゃん子・金魚(漫才)
春風亭正朝   「町内の若い衆」
林家たけ平   「西行」
林家正楽    (紙切り)
春風亭柳枝   「徂徠豆腐」

春風亭柳枝の「徂徠豆腐」を聞くのは3回目。最初はこのネタは彼には合わないのではないかと思ったが、2回目でああこういう演じ方もあるんだなと納得した。そして、3回目の今回、過去2回に比べてデフォルメというか、大きく演じるようになった。本来ならば、もっと緻密にしっとりする人情噺のはずだが、柳枝は節々に笑いを入れながらも、それでいて人情噺の道を外さないで、大らかにラストまで持っていく。どうやら十八番にしたようだ。

池袋演芸場では三人集の新真打昇進襲名披露興行、鈴本演芸場では喬太郎師匠の10周年企画と企画興行などが並ぶなかでの末広亭なので、客の入りは今ひとつだったが、それでも晴れがましい舞台を柳枝はしっかりと務め上げた。できれば週末あたりもう1回行ってみようかと思う。

追伸:さん喬師匠の「真田小僧」は絶品だった。ハロウィーン仕様の金魚師匠も。



月曜日, 10月 24, 2022

4回東京競馬7日目@東京競馬場 菊花賞はドンピシャ的中

東京競馬場の座席指定席券が当たったので、昨日(23日)は3年ぶりに東京競馬場に竹馬の友と足を運びました。昨日は阪神競馬場でG Iの菊花賞が行われ、東京競馬場では重賞レースもなかったために、さほどの人出ではなくゆったりとした感じで観戦することができました。そして、何よりも快晴無風という素晴らしい天気に恵まれて、午前中の第4レースから最終12レースまでたっぷりと遊ぶことができました。

昨日の東京競馬場のメインレースはブラジルカップでしたが、それを的中することはできませんでしたが、阪神競馬場での菊花賞は私の対抗馬(2番人気のアスクビクターモア)・本命馬(7番人気のボルドグフーシュ)が1・2着となり馬連をドンピシャで当てることができました。ただ、東京競馬場のレースは意外に人気馬が勝つ堅い決着が多く、穴党の私には向いている成果を得ることができませんでした。

それでも、寒さ対策のために持っていった上着を一度も着ることもなく、快晴無風のもとで心地良く競馬を楽しむことができました。来月もチャンスがあれば行こうかなあと思っています。(笑)




金曜日, 10月 21, 2022

小田和正コンサート「こんど、君と」@さいたまスーパーアリーナ

一昨日(19日)はさいたまスーパーアリーナで開かれた小田和正の「こんど、君と」のコンサートを聴きに行く。

私が小田和正を聴きに行くことを訝しがる人もいるかもしれない。基本的には”お供”なのですが、実は私は古くからの小田和正、いやオフコースのファンなのです。今はもう高円寺にある知人の中古レコード店に上げてしまったが、オフコース時代のドーナッツ盤レコード『夜明けを告げに / 美しい世界』(1971年10月発売)がお気に入りで、高校時代によく聞いていました。このシングルA面『夜明けを告げに』は作曲が加藤和彦だが、B面の『美しい世界』は作曲が小田和正で、これが彼の作曲家デビューの曲でもあった。

今回のコンサートのチケットは飲み屋仲間の人に手配をお願いした。するとなんとアリーナ席の正面のかなり良い席を手配してくれた。もつべきは友達であり、飲み屋仲間です。(笑)これにはお供も驚きでした。

さて、コンサートは完全に満席(25000人ぐらい?)のさいたまスーパーアリーナで約2時間半行われました。小田和正は齡75ということもあり、正直お顔は少し崩れてしまった感があるが、歌声はまだまだ艶があり、トータルで24曲を歌いきった。『愛を止めないで』や『ラブストーリーは突然に』などの有名どころの曲はもちろん演奏されたが、オフコース時代の名曲『秋の気配』(1977年8月発売)が歌われた時には、ちょっと涙腺が熱くなってしまった。



火曜日, 10月 11, 2022

入船亭小辰改め十代目入船亭扇橋真打昇進襲名披露興行@新宿末廣亭

昨日(10日)は新宿末廣亭で行われている10月上席・夜の部(10日目)を聞いてきた。今回の上席は落語協会の新真打3人の真打昇進襲名披露興行。この日は入船亭扇辰門下の入船亭小辰改め十代目入船亭扇橋の真打昇進襲名披露が行われた。これで3人(一蔵、小燕枝、扇橋)の披露興行を順番通りにすべて見たことになる。

この日は末廣亭の千秋楽ということもあり、また休日ということもあり、若いお客さんが多く詰めかけ、2階席を開放するまでの大入り満員。出演者と演目は下記の通り。

入船亭辰ぢろ 「子ほめ」
三遊亭伊織  「花色木綿」
すず風にゃん子・金魚(漫才)
柳亭小燕枝  「短命」
五明樓玉の輔 「    」
松旭斉美智 美登(奇術)
三遊亭歌る多 「宗論」
入船亭扇遊  「蜘蛛駕籠」
翁家社中(大神楽)
柳亭市馬   「雛鍔」

 〜 仲入り 〜

真打昇進襲名口上

米粒写経(漫才 トレンディドラマの話)
春風亭一蔵  「幇間腹」
入船亭扇辰  「権兵衛狸」
林家正楽   (紙切り)
入船亭扇橋  「大工調べ」

真打口上は客席から見て左の下手側から司会の五明楼玉の輔、前日に還暦を迎えた三遊亭歌る多、主役の十代目入船亭扇橋、師匠の入船亭扇辰、入船亭扇遊、落語協会会長・柳亭市馬という顔ぶれ。口上なので誰もが扇橋の門出を祝う言葉だが、なかでも先代入船亭扇橋の惣領弟子である入船亭扇遊の口上に心を打たれる。あくまでも推測だが、扇遊師匠は先代から十代目はお前らが決めろと言われていたのではないだろうか。本来ならば扇遊師匠が十代目を継いでもおかしくはないのだが、それは「先代は39歳で扇橋を、小辰は38歳で受け継ぐ」という言葉に表れているように、名跡を大きくしてもらいたいがために若い世代に託したのはではないだろうか。最後の三本締めは市馬師匠の音頭で盛大に行われる。

新真打・入船亭扇橋は豊島区生まれ。実家は北大塚にある升民酒店。トリを勤める時に後ろ幕はその実家から贈られものだった。新真打は日大芸術学部落研を経て、2008年(平成20年)2月に入船亭扇辰に入門。私が彼を初めて聞いたのは今から6〜7年前。当時は上手なのだが妙にこじんまりとした話し方で、扇橋を継ぐ器量も技量も持ち合わせていなかった。ところが、この2〜3年で何処となく引き篭もっていた殻を破り、落ち着きながらもところどころに粗忽な味わいを出す落語家になってきた。この日は「大工調べ」を通しで演じ、前半では粗忽者の大工と棟梁の馬鹿馬鹿しい掛け合いを、後半は奉行と大家と棟梁の3人の微妙なやりとりをしっかり話し分け、噺に膨らみをもたせる。これだけの技量を見せてくれたので、観客は誰もが彼が大名跡を受け継ぐのに納得したに違いない。今後の活躍が楽しみである。



木曜日, 10月 06, 2022

柳亭市弥改め八代目柳亭小燕枝真打昇進襲名披露興行@新宿末廣亭

昨日(5日)は新宿末廣亭で行われている10月上席・夜の部(五日目)を聞いてきた。今回の上席は落語協会の新真打3人(春風亭一蔵、市弥改め八代目柳亭小燕枝、小辰改め十代目入船亭扇橋)の真打昇進襲名披露興行。この日は落語協会会長・柳亭市馬門下の柳亭市弥改め八代目柳亭小燕枝の真打昇進襲名披露が行われた。出演者と演目は下記の通り。

入船亭扇ぱい  「たらちね」
柳亭市若    「狸の鯉」
ジキジキ    (夫婦漫才)
春風亭一蔵   「芝居の喧嘩」
五明楼玉の輔  「ざいぜんごろう」
松旭斎美登・美智(奇術)
三遊亭円歌   「    」
入船亭扇遊   「子ほめ」
翁屋社中    (大神楽)
柳亭市馬    「粗忽の使者」

 〜 仲入り 〜

真打昇進口上

米粒写経     漫才(群馬県、福島県)
入船亭扇橋   「あくび指南」
入船亭扇辰   「千早ふる」
江戸家小猫   (ものまね)
柳亭小燕枝   「死神」
        (踊り「イケメンかっぽれ」)

真打口上は客席向かって左側の下手側から司会の五明楼玉の輔、入船亭扇辰、主役の柳亭小燕枝、師匠の柳亭市馬、三遊亭圓歌、入船亭扇遊という顔ぶれ。それぞれの口上はもちろん小燕枝への門出を祝う言葉だが、なかでも三遊亭圓歌の口上が一番熱く、風刺もきいてフィットしていた。口上の最後は扇遊師匠の音頭取りで場内も揃って盛大な三本締めが行われる。

新真打・柳亭小燕枝は世田谷区生まれ。鹿児島県生まれの圓歌師匠の同郷の小原国芳が創設した玉川大学出身でイケメン。ただし、師匠の市馬曰く「最近は崩れはじめている」と。もちろん、小燕枝(市弥)は、一蔵、扇橋(小辰)と同期で、二ツ目時分はよく「力の一蔵、技の小辰、愛嬌の市弥」と何処となくその実力を軽視されがちだったが、この2〜3年その実力も単なる愛嬌だけではなく、噺の展開を緩急自在に操り、自分の型を作りつつある。

この日の演目「死神」も彼のキャラクターには合わないように思えたりするが、これが意外や意外、登場人物を見事に演じ分けて明朗快活な怪談噺に仕立て上げていく。鮮やかな出来だった。今後もこうした意外な一面を見せながら、実力ある落語家になってもらいたい。



月曜日, 10月 03, 2022

鮭、牛、茶だけでない村上の屏風まつり 地方の歴史文化に保護を


新潟県村上市は江戸時代は城下町として栄え、戦災を受けなかったおかげで、現在でも江戸、明治に建てられた町屋や神社仏閣が残り、往時の面影を大変数多く見ることができる。そして、村上は江戸時代に鮭の産卵・増殖を生み出したところでもあり、現在でも鮭は数多く獲れる。また、北限の茶どころとしても有名で、現在は村上牛という美味しい牛も生産している。

そんな村上市の町屋通りを中心に毎年秋に屏風まつりが開かれている。今年は9月15日(木)から10月15日(土)の開催で、一昨日(1日)数多くの屏風が飾られている町屋巡りをしてきた。正直、屏風そのものにお宝的価値があるかどうかは分からない。しかし、100年以上も経つ町屋の中に先祖代々が維持してきたことは大変なことであり、またその意義はとても尊いことであり、これこそが歴史文化の継承である。

その意味において、国宝だの重要文化財と同等であり、国はこうした地方の隠れた文化財に対しても保護をするべきであり、また一般市民も京都や奈良などの文化財だけでなく、こうした地方の文化財にももっともっと目を向けるべきだと思う。