昨日(26日)はサントリーホールで開かれたN響第1967回定期公演Bプログラム(1日目)を聴いてきた。ピアノはオリ・ムストネン。指揮はヘルベルト・ブロムシュテット。演目は下記の通り。
グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
ニルセン/交響曲 第3番 作品27「広がり」
1曲目。オリ・ムストネンは譜面を置いてのとても丁寧な演奏なのだが、なんかピアノ本体がいただけない。高音は妙にキンキンするし、低音は温かみも深みもない。これってピアニストの好みなのか調律師の問題なのか。いずれにしろ、30分間の演奏はどことなく表面的というか、慈しみというか愛らしさを感じることができなかった。
2曲目はおそらく初めて聴く曲。ニルセンはデンマークの作曲家。題名の「広がり」は広い世界へ歩んでいこうという前向きな姿勢の意味らしい。第1楽章は人間として生まれた意義を伝えているような楽章で快活で明るい。第2楽章はバリトン(青山貴)とソプラノ(盛田麻央)を入れて、生命の大切さと生きる喜びを表現する。第3楽章はスケルツォながらも人の葛藤を表現。第4楽章は人は前へ進んで歩いていくんだという「広がり」を表す。とにかくポジティブな人生を歩もうという曲であった。
そして、演奏ではあるが、指揮のブロムシュテットは先週のNHKホールでのシューベルトの時より指揮幅が広がり、以前のように手刀を切るかのようにキレッキレ。それはまるで「ニルセンは俺にまかせろ、俺についてこい」のようであり、オーケストラをグイグイと引っ張っていく。とても95歳とは思えない驚愕の指揮。
先日のシューベルトのときは、ブロムシュテットを聴くのは今年で最後になるかもしれないなあと感慨深げになってしまったが、昨日の演奏を聴くと、これは来年も聴けるぞ、に変わった。まさにタイトル通りの「広がり」を実践してくれたブロムシュテットだった。
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