緊急警報放送というものがある。
緊急警報放送とは、緊急警報放送対応受信機を自動的に作動させるために、放送局が緊急警報信号を発信する放送である。NHKが毎月1日の正午前に試験放送を行っている。一部の民放でも試験放送が行われているが、全国的にはまだまだ少ない。
では、実際にこの緊急警報放送が何度行われたかというと、過去に17回ある。最近では今年の1月13日の千島列島沖地震のときに放送されている。一番最初に行われたのは1987年3月18日の宮崎県沖地震だった。
そして、4回目にあたる1993年7月12日の北海道南西沖地震のときに私は実際の信号音を初めて耳にした。そのとき、私は仕事でインドネシアのロンボク島にいて、夜に短波ラジオでNHK国際放送を聞いていたら、いきなりピロロピロ、ピロロピロロという音がし始めた。そして、切羽つまった声でアナウンサーが「北海道の太平洋沿岸に津波警報が発令されました」という放送をはじめた。
http://library.skr.jp/19930712_nanseioki.htm
(そのときの緊迫した放送が聞けます)
しかしながら、ご存知のように震源に近い奥尻島には大津波が押し寄せ230人の死者行方不明者を出す大惨事になってしまった。結局、この放送は間に合わなかったようだ。地震発生は22時17分、津波到達はそのわずか3分後の22時20分ごろ、札幌管区気象台が津波警報を発したのは22時22分だった。それでは、この放送が無駄だったのかというと、そうではない。このときの放送をきっかけに数多くの人が緊急警戒放送のことを認識するようになった。特に沿岸地域に住む人が大きな関心をもつようになった。
今日は6月1日である。先程NHKでは試験信号発信の放送が行われた。いずれ携帯電話で地震警戒メールが受信できる時代がくる。そのせいか、都会に住む人にとってはこの試験放送に違和感を感じる人も多いかもしれないが、沿岸に住む人にとってはまだまだ大切な放送である。
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