今冬に京都に行ったとき、河原町三条にある老舗の割烹店「藤や」で、中西重和さんというすでに現役を退かれているが、京都で活躍する調理師さんたちが研鑽する会・京都好友会代表という京都料理界の重鎮の方とたまたまお話をする機会があった。
中西さんは20代半ばで「すし松」の料理長となり、その後「貴船ふじや」「花やしき浮船園」名古屋の「桜明荘」などで料理長を務めて数多くの弟子を育成した。その中西さんが「ここの前の料理長だったヤツが祇園に店を出したから、機会があったら行ってや」と言った。
そのお店が2007年11月にオープンした「閼伽井(あかい)」である。場所は祇園北側、花見小路と末吉町の交差点から東に入った路地裏にある。店内はシンプルな作りで、出入口寄りにカウンターの椅子席が4席、そして奥に掘りごたつ式カウンター席が3席。この他に、2階に4〜6名入れる座敷がある。ちなみに「閼伽井」とは仏前などに供養される水が湧く井戸とのことをいうそうである。
主人の阿部博輝さんは下鴨にある「吉泉」、麩屋町三条にある「炭屋旅館」、京都ホテルオークラ6Fにある「入舟」などを経て、「藤や」で料理長を務めた。彼は非情に実直な方とお見受けした。というのも、ネクタイをして調理場に立つ。そして、料理はとにかく絶品である。いちじくのゴマ和えに始まって、お刺身、煮物、吸い物、となにもかもが非常に丁寧な造りで手がこんでいる。私はフードライターでも料理ブロガーでもないので、詳細なことは書けないが、お昼なのに日本酒が恋してくて恋しくてならなかった。
置いてあるお酒は阿部さんが新潟出身ということで新潟のお酒が主体のようである。私は昼に訪ねたので日本酒をいただくことはなかったが(ビールは2本ばかり飲んだw)、彼は「『食べログ』にお酒の銘柄が普通だと書かれてしまい困っています」と洩らしていた。確かに久保田や〆張鶴などは誰もが知っているお酒なので、できれば新潟のお酒でもなかなか手に入らない銘酒(「鶴齢」「亀の翁」「松乃井」「越乃景虎」など)を並べれば、飲兵衛たちは喜ぶかもしれない。次回はぜひとも夜に訪れて、美味しい京料理と一緒に美味しい新潟のお酒を飲みたいと思う。
写真上:祇園路地裏にある「閼伽井」
写真下:中西重和さんの著書「京料理の思い」
閼伽井(あかい)
京都市東山区祇園町北側347-51 電話番号075-551-8181(要予約)
正午〜14時 午後5時30分〜午後9時(ラストオーダー)不定休
食べログ
http://r.tabelog.com/kyoto/A2603/A260301/26005953/
京の冬の旅・美食日記(木屋町 藤や)
http://k21komatsu.blogspot.com/2009/01/blog-post_31.html
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