火曜日, 8月 26, 2014

海外留学したくてもできない現実

残念なことに昨今の若者は海外留学しようとしなくなっている。それは現代の若者が冒険心がなくなったせいだ、面倒なことが嫌いな内向性な性格な者が増えたからだ、などと言われている。確かにそうかもしれない。しかし、最大の理由は行きたくても行けない現実がある。それはアメリカでの学費の高騰にある。

日本人の海外留学先といえば、9割方はアメリカである。そのアメリカの学費が近年とんでもない金額になっているという。古い話で恐縮だが、私がアメリカの大学に行っていた1970年代半ばの外国人に対する学費は州立大学で年間約1000ドル(当時は1ドル=300円だったので約30万円)程度だった。それが今では20,000ドル(約200万円)かかるそうである。これは日本の文系大学の学費のほぼ2倍、理系の1.5倍ぐらいではないだろうか。

1970年代の日本の大学の学費は文系で約20万円、理系で約30万円ぐらいだったので、私の学費は理系の学費とさほど変わらなかった。つまり、私は地方の高校生が東京の理系の私立大学に行くのとさほど変わらない形(生活費はアメリカの方がかかるが)でアメリカの大学に通えたのである。


ところが、今や学費だけで200万円である。こうとなると、かなり裕福な家の子供でないと留学することはできない。貧乏な子は留学するなと言っているようなものである。となると、奨学金制度を充実させなければならないが、日本は国も民間も奨学金に関しては非常にレベルが低く遅れている。

ならば、少なくとも1年間の短期留学生に対しては大学は休学措置を取り、その間の学費は免除するなり、奨学金を与えるといった制度を設けるべきではないだろうか。また、高校生の夏休み語学研修制度を充実させる必要性もあるのではないだろうか。

海外へ行かない若者ばかりになると、日本はそのうち排外主義・民族主義者だけになり、視野の狭い人間ばかりになって危険な道を歩みかねない。それでなくとも、今の若者はネトウヨに代表されるように妙にエスノセントリズム(自民族中心主義もしくは自文化中心主義)に傾倒している。

国は海外留学に関して抜本的制度改革を行うべきである。

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