水曜日, 1月 19, 2022

第1回「ぐー・ちょき・ぱーで!」@ばばん場

昨日(18日)は先週柿落とししたばかりの落語などの演芸を主体としたイベント会場「ばばん場」で「ぐー・ちょき・ぱーで!」の第1回を聞く。会場は客席キャパが最大40名ぐらいだと思うが、昨日は20数名の客席数だった。

「ぐー・ちょき・ぱーで!」は春風亭一蔵、柳亭市弥、入船亭小辰の三人集の別名というか、ばばん場のでの公演名である。この名の由来は三人集の会でいつもジャンケンで出演順を決めていることによる。ちなみにチラシではグーが小辰、チョキが市弥、パーが一蔵になっているが、そのことに開演前トークで一蔵が「俺がグーだろう」と異議を申し立ていたが、私もグーは一蔵だと思う。で、市弥は「俺はチョキだと思う」と言っていたが、そうなると小辰はパーになる。正直、力技の一蔵がグーは納得するが、チョキとパーはどっちもどっちという感がする。w

で、この日の出番はジャンケンの結果、下記の通りになり、演目もこうなった。

春風亭一蔵  「ふぐ鍋」
入船亭小辰  「初天神」
 〜 仲入り 〜
柳亭市弥   「妾馬」

この3人ではトップバッターはやはり一蔵(秋になっても名前はそのまま)が似合う。彼の力技というか多彩な顔芸は、その会を和ませてくれると同時に、その空間に落語の世界を作り上げていく。瞬間的にこうした力をもっている人は稀有だと思う。ちょっと語弊のある言い方もしれないが、トップバッターは一蔵に任せろ、と言いたくなってしまう。それだけの強引さがある。

小辰(秋には10代目入船亭扇橋)は落語の王道を極める人だと思う。表現力、観客を魅了する力などは3人のなかでは一番あると思う。しかし、時おり優等生的な演じ方をしてしまう。その辺が一蔵のように吹っ切れていない。「初天神」は親子のどちらも主役なのに、前半の露店部分は子供に後半の凧揚げは親父にと、ウエイトが偏りすぎているような気がする。フルバージョンだから仕方がないのかもしれないが、個人的にはもう少し金坊にスポットを当ててほしかった。

トリを取った市弥(秋には8代目柳亭小燕枝)も小辰に似たようなところがあった。「妾馬」での最初の八五郎と大家の掛け合いは、大家の存在がよく見えなかった。ところが半ば以降の八五郎と大名家の田中三太夫や殿様とのやり取りはとても生き生きしている。彼はスロースターターなのかもしれないが、マクラを含めて最初の引きをもう少し頑張ってもらいたい。

多くの落語はマクラを除けば10〜15分の噺なのだが、その引き出しの出し入れというか、自分の得意技をいかに使うかが大切なんだと思う。それは、グー(力)の良さであり、チョキ(技)の良さであり、パー(愛嬌)の良さでもあると思う。つまり落語のグーチョキパーは、心技体であるというか総合力なのでもあると思う。つまるところ、落語は独りによる総合芸術のなのだろう。その意味において、一蔵、市弥、小辰の三人それぞれが秋には心技体を取り揃えた真打になっていることを期待している。

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