土曜日, 11月 26, 2022

林家つる子独演会「つる子の赤坂の夜は更けて」(芝浜)

昨日(25日)は赤坂会館で開かれた林家つる子独演会「つる子の赤坂の夜は更けて」を聞きに行ってきた。出演者と演目は下記の通り。

林家つる子  「戦いを終えて」
林家つる子  「やかん」
 〜 仲入り 〜
林家つる子  「芝浜」

これまでに2回林家つる子を聞いているが独演会は初めて。冒頭の「戦いを終えて」は2日前に放送されたNHK落語新人大賞の裏話で、いわば長く辛かったというマクラのような嘆きと意気込み。来年は生放送になることを願う。(笑)

「やかん」は八五郎が"先生"気取りの隠居を訪ねると、隠居は「グシャ、愚者」と言いながら、八五郎を迎え入れる。そんなことお構いなしの八五郎は隠居に色々なことを聞き、そのたびに隠居は落語的な適当な答えを返す。そして、八五郎が「ヤカンはなんでヤカンというの?」と訊ねると、隠居は突然講談調になり川中島の合戦のくだりを話し始める。ここらあたりから林家つる子も調子にのりはじめる。それにしても、この噺は実にくだらない。(笑)

林家つる子の「芝浜」は女性(女房)目線で描く「芝浜」。約1時間10分の長講。本来の「芝浜」は天秤棒1本で行商している魚屋の勝五郎が芝浜で拾った財布(中には50両)のことを女房のおみつが夢物語にして改心させるという噺である。林家つる子もその本筋の話を崩すことはないが、そこに至るまでの勝五郎とおみつの馴れ初めの話をつけ加える。これがイナセで心地よく、ここで女性目線の下地をしっかりと築いていく。これで噺の主役はおみつであり、勝五郎や大家は脇役の布陣となる。終演後につる子は「これからも練り直して、しっかり育てていきたい」と言っていたが、できれば妙にウケ狙いをすることなく、凛とした「芝浜」を作り上げていってほしい。

次回(来年2月22日)は「紺屋高尾」を花魁目線でトライするという。その心意気に「あっぱれ」をあげたい。本人曰く「私はそうした活動家ではない」というが、今後も女性目線で描く古典落語を築きあげる活動をしてもらいたいと私は密かに期待している。

なお、年内は下記の3回で「芝浜」のネタ出しをしているので、興味のある方はぜひ行ってみましょう。

12/17午後 穴川コミュニティセンターホール(千葉)
12/18午前 なかの芸能小劇場
12/24夜  深川江戸資料館



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