火曜日, 5月 05, 2009

映画『東洋宮武が覗いた時代』を観る

本日(こどもの日・立夏)、東京都写真美術館ホールですずきじゅんいち企画・監督による日・米合作ドキュメンタリー映画『東洋宮武が覗いた時代』を観た。4月11日から公開されていたが、諸事情により今日まで観るチャンスがなかった。

宮武東洋は1909年13歳のときに父親に呼び寄せられてアメリカに移住して、ロサンゼルスのリトル東京に写真館を開いていた高名な写真家である。1941年の日米開戦を機に翌年アメリカ西海岸に住んでいた約11万人の日系アメリカ人は全米10ヶ所の強制収容所に収容される。彼も一家と共にマンザナール(カリフォルニア州)に収監される。ここで彼は密かに作成したカメラで収容所の生活を撮り始める。

映画は宮武の撮った写真などと共に、収容所に収監された日系アメリカ人(元上院議員のダニエル・イノウエ、俳優のジョージ・タケイ、ロス市警の捜査官だったジミー・サコタ夫妻など20〜30人)の証言で構成されている。

私はアメリカに遊学していたときに、少しだけではあるが日系人の歴史を調べたことがある。直接日系人の方からお話をうかがったりしたこともある。それゆえに、宮武東洋の撮った写真には何度も目にしているが、この映画のなかではこれまでも観たこともない写真も数多い。宮武は3年余の収容所生活で500枚以上の写真を撮り、これらはいずれも歴史的に貴重なだけでなく、芸術的にも価値が高いと思う。それは彼がバレエ・ダンスや数多くの肖像写真を撮っていた経験からでもあろう。

日系人が太平洋戦争期間中に強制収容所に収監されていた事実を知る人は少なくなっている。それは日本人だけでなくアメリカ人も同じである。人種差別と偏見のによって3年余り「自由と平等」を奪われた約11万人の日系人の生き様を伝えた宮武東洋の勇気に感謝すると共に、この映画を企画・製作したすずきじゅんいち監督に敬意を評したい。そして、数多くの人にこの映画を観てもらいたい。

上映は5月22日(金)まで東京都写真美術館。5月9日(土)からシネマート六本木。5月23日(土)から大阪第七藝術劇場など、その後も全国で順次公開予定。スケジュールは下記HP参照。

『東洋宮武が覗いた時代』公式ウィブサイト
http://www.toyoscamera.com/

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