水曜日, 6月 01, 2011

映画『ブラック・スワン』を観る

映画は騙し絵である、ということを見事に具現化している映画だ。芝居にしても、映画にしても、絵画にしても、音楽にしても、芸術の新作というものは、期待と失望、信用と裏切りといった相対したなかで作り上げられていく。つまり、芸術はある意味、虚構であり虚偽で騙しでもあるのだから。

映画のあらすじは『白鳥の湖』の主役に抜擢されたニナ(ナタリー・ポートマン)が、演出家の強い要望により官能的な「ブラック・スワン」を演じるために、苦悩と葛藤を繰り返していくという至極単純なストーリー。ただ、それを現実と虚構(妄想?)をうまくミックスさせながら、スリラー映画ばりの緊張感と不安感を煽りながら観せていく。また、ちょっと大胆な性描写も織り込まれていて、大人の映画にもしている。

主演のナタリー・ポートマンはこの映画の振付師だったべンジャミン・ミルピエと出来ちゃった結婚をしてしまい、映画のストーリーと同じような道を歩んでいる。ただ、こうしたことは映画や演劇の世界では別にありふれたことである。というのも、芸術の世界で生きる人たちは現実と虚構の狭間を行き交いしながら生きているのだから。

決してバレエ映画でもく、ホラー映画でもないが、冒頭にも書いたように、映画が実に楽しい騙し絵であることを立証してくれた秀作である。ただ、ちょっとスリラー度が刺激的なので、ちょっと心臓の弱い人向きではない。また、女性客はできれば1人で観に行くのではなく、誰かと一緒に行くのがいいだろう。そうすれば、観賞後の会話が楽しくなるのではないだろうか。

ブラックスワン公式サイト
http://movies2.foxjapan.com/blackswan/

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