こんななかで、与党の自民党は保育園周辺の道路に「キッズゾーン」を設けてドライバーに注意喚起を促すことや、高齢者は自動ブレーキ搭載車限定の免許制度導入などを政府に提言した。一方、野党の立憲民主党も高齢者の移動手段の切れ目ない確保など6つの提言をしている。そして、免許更新期間の見直し、実車による再試験制度や限定免許制度の導入なども求めている。
しかしながら、安倍政権は踏み込んだ対応をしていない。安倍が「高齢者の安全運転を支える対策のさらなる推進、高齢者の移動を伴う日常生活を支える施策の充実について新たな技術の進展なども考慮しつつ一層強力に推進してください。また次世代を担う子供のかけがえのない命を社会全体で守るため、子供が日常的に集団で移動する経路の安全確保策を早急に取りまとめてほしい」と官僚が書いた文章をまるで他人事のように丸読みするだけである。
それではなぜ高齢者ドライバーに対する事故対策が進まないかを考えてみた。それは2つの大きな理由があるからだろう。
まず第一に自動車会社に対する配慮というか忖度だ。つまり、高齢者ドライバーを減らすことは車を買う余裕がある購買層を減らすことになる。昨今、都会の若者の間では「クルマ離れ」が進んでいて、自動車免許証を持たない割合が高くなっている。一説によると都会では若者(18歳から20代前半)の免許保有率は2人に1人とも言われている。そんななかで購買能力のある高齢者に運転免許を返上しろと、政府は積極的に言えるはずがない。
第二に選挙対策である。地方では高齢者は運転できないと生活がなりいかない。しかし、都会では車に変わる移動方法はいくらでもある。それなのに返納しない高齢者ドライバーは、運転技術を過信している自信過剰の人であったり、家族の忠告に耳をかさない協調性のない人である。いわゆるガンコ親父である。こうした自己中心的な人が投票する政党はどこかといえば自民党だろう。
これでは、安倍政権としては「高齢者は運転免許証を返納しろ」と積極的に言うことはできない。ということで、残念なことだがまだまだ高齢者ドライバーによる事故は減りそうにない。
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