火曜日, 7月 12, 2022

恒例 納涼四景(上)〜長講競演落語会~

昨日(11日)は国立小劇場で開かれた「納涼四景(上)〜長講競演落語会~」を聞きに行ってきた。出演者と演目は下記の通り。

柳家左ん坊  「手紙無筆」
三遊亭兼好  「天災」
柳家三三   「百川」
五街道雲助  「大山詣り」
 〜 仲入り 〜
柳家さん喬  「船徳」

開口一番は柳家さん喬の孫弟子・さん坊。最近の前座噺は「手紙無筆」が多い。これって流行りなのだろうか。前座噺というと「寿限無」「道灌」「初天神」あたりが有名だが、ケチの金槌の「しわい屋」とか「時そば」を聞いてみたいと思うのだが・・・。

「天災」は喧嘩っ早い八五郎が離縁状を何枚か書いてくれと隠居に頼みくるが、逆に隠居に説教をされて長屋に戻って一悶着するという滑稽噺。三遊亭兼好は今回のようなベテラン2人(雲助・さん喬)が出る落語会のトップバッターに絶好な人だ。とにかく場を明るくするというか、地ならしをしてくれる。もうここで、今宵の落語会は楽しくなりそうだと思ってしまう。

三三の「百川」はちょっと上品すぎる。これがこの人の個性なのだから仕方がないが、某落語家の「百川」があまりにもインパクトがありすぎて、申し訳ないが入り込むことができなかった。本当に三三は当たり外れが激しいというか、すき好みの判断が出てしまう落語家である。

「大山詣り」は五街道雲助の十八番。大山詣りで坊主にされた八五郎が一足先に江戸に戻って仕返しをするという、演じ方によってはちょっと辛辣でタブーな噺だが、雲助にかかるとあの飄々した話し方と坊主にする仕草などによって、毒気を交えながらも痛快な話になっていく。いいねえ。

柳家さん喬はマクラでほうづき市の経緯などを話してから「船徳」へ。「船徳」は若旦那の徳さんが船頭になってひと騒動を起こすという噺。結論から言うと、とにかく素晴らしい名人芸だった。船宿の女将のやる気の無い口調、船頭たちのおっちょこちょいの様、若旦那が棹を流したり、櫓をこぐ仕草など、何をとっても天下一品の超絶技巧の芸。この芸を見聞できたことだけでもラッキーというより誇りに思う。今のさん喬師匠を聞かないと人生の損になると思うぐらいだった。感謝。

最後に蛇足になるが、出囃子の音がいいなあと思ったら糸(三味線)は太田そのさんだった。彼女の奏でる雲助師匠の『箱根八里』やさん喬師匠の『鞍馬獅子』は暑い夜にも関わらず清々しかった。乾杯🍻



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