昨日(20日)は日本橋社会教育会館で開かれた「林家つる子・春風亭一花二人会」を聞きに行ってきた。出演者と演目は下記の通り。
春風亭一花 「祇園会」
林家つる子 「ねずみ」
〜 仲入り 〜
林家つる子 「お菊の皿」
春風亭一花 「粗忽の釘」
林家つる子は2010年9月に九代目林家正蔵に入門。2015年11⽉に⼆ツ⽬昇進。春風亭一花は春風亭一朝の弟子。2013年5月に春風亭一朝に入門。2018年3月に二ツ目昇進。共に「さがみはら若手落語家選手権」で優勝している実力派。
春風亭一花はマクラで私は"生粋の江戸っ子"と自慢してから、お伊勢参りの帰りに立ち寄った京都で京自慢の男と江戸っ子が喧嘩するという「祇園会」に。一花の滑舌は師匠の一朝に似ている。江戸っ子と強調するだけはある。一方で京言葉がやはりいま一つ。京都人の排他的というかちょっと人を見下す仕草は喋りはいいが、あの独特の柔らかさというか、はんなりさも強調してほしかった。
マクラもそこそこに本題へ。「ねずみ」は左甚五郎が作ったネズミの彫物のおかげで、潰れかけていた宿屋が復活するという噺。つる子は「芝浜」など古典落語を女性目線で話をすることで知られているが、この「ねずみ」ではそのようは演出はされず、正面から作品に取り込んでいる。女性目線だけにこだわっていないことに好感が持てた。
「お菊の皿」は「1枚〜、2枚〜」という番長皿屋敷を下地にした「怪談噺」という滑稽噺。主人公のお菊が女性ということもあることから、林家つる子はいくらでもデフォルメできるという気楽さからか伸び伸びとお菊を演じる。完全に十八番にしている。
「粗忽の釘」は引っ越しをしてきたばかりの粗忽者の大工が八寸釘を壁に打ってしまうというだけの馬鹿馬鹿しい噺だが、春風亭一花はテキパキと話を進めていく。今もっとも勢いのある春風亭一朝一門の1人ということもあるのか、そのキップの良さは心地よく、まさに生粋の江戸っ子だ。できれば彼女には長屋噺を極めていってもらいたいと思った。
春風亭ぴっかりが蝶花楼桃花を襲名して、再び脚光を浴びるようになった女性落語家だが、つる子と一花を聞いていると、もうそんなジェンダー的な取り上げ方なんかどうでもいいよと思えた。もちろん芸に女性ならではという武器を取り入れることは必要だが、外野がいちいち「女性」と取り上げる必要はないと思う。彼女たちが他の二ツ目たちと切磋琢磨して真打になれることを願っている。
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