昨晩、渋谷東映で映画『クライマーズ・ハイ』を観た。面白い。非常に面白い。
『クライマーズ・ハイ』は作者の横山秀夫が、上毛新聞勤務時代に経験した日航ジャンボ機墜落事故をもとに、その新聞社(映画では北関東新聞となっている)を舞台にした、記者魂を描いた作品である。また、タイトルになっている『クライマーズ・ハイ』とは、登山家が山登りのときに覚える異様な興奮状態のことであり、映画はその登山家心理と新聞記者魂を交錯させながら描いていく。
映画は2時間25分にも及ぶ大作だが、演出の展開はスピーディで観る者を飽きさせない。また、出演者たちの熱気と狂気に満ちた演技も素晴らしい。主役の堤真一はこの作品が代表作になるであろうし、いくつかの映画祭で主演男優賞も取れるかもしれない。加えて、彼と対立する部長を演じた遠藤憲一、デスクを演じた田口トモロヲなども助演男優賞ものである。映画の後半に堤が遠藤にスクープ記事を打診するとき、現場組(田口、堀部圭亮)の2人が上司(蛍雪次朗、中村育二)を懐柔しているシーンなどはやや漫画チックではあるものの、映画ならではの醍醐味があり見ごたえがあった。
しかし、この映画は後味が悪い。なぜなのだろう。それは、日航ジャンボ機墜落事故の死者に対する畏敬の念がないとかそういうことではない。それは墜落原因が「圧力隔壁の破損」ということに対する疑念が弱いと感じたからであろうか。それとも、新聞記者の心理と登山家の心理の交錯を私がうまく理解できなかったからであろうか。
もう一度、じっくり観るつもりでいる。
映画『クライマーズ・ハイ』公式サイト
http://climbershigh.gyao.jp/
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