春風亭枝次 「つる」
春風亭一蔵 「鷺とり」
柳家権太楼 「代書屋」
〜 仲入り 〜
対談
春風亭一蔵 「子別れ」(通し)
開口一番、前座の春風亭枝次は春風亭百栄の弟子。とても骨っぽい体型なのに意外にフットワークが軽い。これは師匠譲りかも。前座の「つる」は初めて聞いたが、やはりちょっと背伸びしずぎか最後のつめが甘い。落語はオチ(サゲ)に持っていく前の高揚が大事なんだなと思ってしまう。
春風亭一蔵が登場する前に前座の枝次が金色の座布団を持って、高座の座布団を変える。この金色の座布団は一蔵が先日のBSフジ『ザブワン』で優勝して獲得したもので初お披露目。普通の高座座布団より1・5倍は大きく座りごごちは良さそう。ただし、電車での持ち運びは大変とのこと。(笑)
「鷺とり」はスズメ取りに興じていた男が、今度は鷺取りをするが、取った鷺を腰につけていたら、鷺たちが一斉に羽をあげ、男は空へと舞い上がってしまうという、どう考えてもあり得ないような噺。しかし、これが勢いと力技の春風亭一蔵には似合う。
10日間の隔離生活から戻ってきた柳家権太楼。若干痩せたような感じだったが、滑舌やキレ、話の展開などには変わりはない。「代書屋」は先日も桃月庵白酒で聞いたが、その時の代書を頼む男は権太楼の師匠柳家小さんの本名・小林盛夫だったが、権太楼の場合は湯川秀樹。どちらも昭和の時代がかっている。話そのものが昭和なのだから当然なのかもしれないが、今だったら誰になるのだろうか。大谷翔平とかになるのだろうか。
対談は権太楼師匠の二つ目から真打になるまでの過程や名跡変更などかなり際どい話が出て大変興味深かったが、最後は一蔵を激励して、襲名披露にはぜひ足を運んでくださいとアピールして後輩を盛り立てる。一蔵の目はとても嬉しそうだった。
一蔵の「子別れ」を聞くのは2回目だが、全編通しを聞くのは初めて。途中ちょっと中弛みもあったが(私のせいかもしれない)、後半の再会部分は人情味たっぷりかつ、こまっしゃくれた息子の亀吉の表現が暖かみや優しさに溢れていた。この噺、「子は鎹」というだけあって、やはり亀ちゃんが純情かつ大人ぶってイキイキしてこそだと思う。巨体の一蔵が子供を演じると滑稽でもあるが、それが面白い味を出している。この噺、真打になってからももっともっと極めてほしい。
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