木曜日, 4月 21, 2022

気になる三人かい・・・(小痴楽、一之輔、喬太郎)@めぐろパーシモンホール

昨日(20日)はめぐろパーシモンホールで開かれた「気になる三人かい・・・」を聞きに行ってきた。出演者と演目は下記の通り。チケットは完売(1200席)で大入が出たとのこと。

春風亭いっ休 「手紙無筆」
柳亭小痴楽  「粗忽長屋」
春風亭一之輔 「不動坊」
 〜 仲入り 〜
柳家喬太郎  「稲葉さんの大冒険」

前座は今回も春風亭一之輔の3番弟子の春風亭いっ休。今年に入って何度彼の噺を聞いたことだろうか。でも今回は仕方がない。なにぶん柳家喬太郎は弟子を取らないし、柳亭小痴楽は真打に昇進したばかり。一之輔しか弟子がいないのである。そして1番弟子と2番弟子は既に二ツ目。残るのはいっ休と貫いちしかいない・・・。で、いっ休は文字が読めない者同士の「手紙無筆」をかけるが、肝っ玉が座った話し方で実に巧み。前座はもう卒業だ。

柳亭小痴楽のマクラは、自分は目黒区に住んでいるのにパーシモンホールに来るのは初めてのことで、それも喬太郎師匠と一之輔師匠と一緒になんて恐縮ものですと言いながら、この高座の後は池袋演芸場のトリを務めなければならないと、こちらも意外に肝っ玉が座っている。さて「粗忽長屋」は行き倒れの男を見た八五郎が、それは友人の熊五郎だと言い張るところから始まる滑稽噺。このバカバカしい噺を小痴楽は緩急自在というか半ば茫然自失させるような浮遊感漂う巧みな演じ方をする。こういうシュールさがあれば新作落語もできる。いつか挑戦してもらいたい。

春風亭一之輔のマクラは今公演のチラシに書かれているキャッチコピーの「若手」という言葉。どうして喬太郎師匠が若手なのか、わからないと。「私が落語家になったときには喬太郎師匠はもう真打でしたよ」と。また、楽屋(寄席?)では吉野家の「生娘シャブ漬け」話で持ちきりと。おそらくこの数日は多くの落語家がこの話をマクラに使うに違いない。さて「不動坊」はお滝さんの後添えになった男を幽霊で驚かせようという滑稽噺。このどうしようないバカ話を一之輔はバカがバカを演じる気持ちになりきっているというか、自分を徹底的なバカにして演じる。バカによるバカ噺。バカにしてはならないぐらいバカバカしかった。(^_^)

柳家喬太郎のマクラはカツカレー。最初に入った某百貨店の食堂ではカツがないと言われ、次に入ったお店ではカレーを切らしていると言われる。どこまで本当かわからないが、彼には「コロッケそば」という名作があるくらいだから、食べ物に対する執着執念は凄い。是非ともこの話も落語にしてもらいたい。「稲葉さんの大冒険」は昨年亡くなった三遊亭円丈が喬太郎の師匠である柳家さん喬(本名:稲葉実)のために書いたもの。この噺、以前より聞きたくて聞きたくて仕方がなかったので、私にはたまらなかった。噺は超生真面目な稲葉さんが誕生日に風俗のティッシュをもらってしまい、そのティッシュをどう処分するか迷いあぐねているところに、犬を散歩中の長谷川さんに出くわすという、円丈師匠ならではのシュールな展開の噺。喬太郎はこの噺を途中で「トリは古典落語じゃないんだ」と観客をイジったり、桂枝雀師匠へのオマージュを込めた形態模写を取り入れたりと、喬太郎ワールド全開で熱演。いや〜面白かった。

最後に余談を。このところ地元、パーシモンホールでの落語会が増えてきた。これは東横線話を得意とする喬太郎師匠のおかげだけではなく、目黒区に住んでいる噺家がかなりいるからかもしれない。そして、また目黒や世田谷南部で開かれる落語会が少ないことや、東横線沿線、多摩川線沿線の高齢者が出かけやすいことがあるからかもしれない。そういうことを考えると、パーシモンホールは小ホールを含めてもっと落語会を催してもいいのではないだろうか。以上、地元民の訴えでした・・・。w

注:写真はパーシモンホールのTwitterより拝借

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