一時期、テレビや新聞などでやたらと使われた「癒し」という言葉。最近あまり耳や目にしません。
この「癒し」という言葉がいつ頃から使われ始めたかというと、約10年ぐらいまの90年代後半からです。最初は「ヒーリング」という言葉が流行して、その和訳的な言葉として広まったように覚えています。
そもそも、この言葉は広辞苑などの辞典には「卑し」という言葉は載っていても「癒し」という言葉は存在しません。おそらく「癒し」という言葉は「癒す」という言葉を勝手に名詞化して作られたのでしょう。広辞苑によると、「癒す」とは「病や飢渇や心のなやみをなおす」と書いてありますから間違いないでしょう。
ただ、私はもともとこの言葉を使うことが好きではありません。発音が「卑し」と同じであり、どうしても意味を「卑しい」という方向にとってしまうのと、言葉自体のニュアンスが現実逃避のようにしか思えなかったからです。
「癒し」という言葉が使われなくなった最大の理由は、不景気に突入した昨今では、もうそんな悠長なことを言っていられなくなったからであろう。言葉は生き物、世相を見事に反映していると思います。
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