火曜日, 12月 30, 2008

『篤姫』が面白かった秘めたる理由

『篤姫』は面白かった。全50回の平均視聴率が24・5%(関東地区)になり、21世紀に入ってからの大河ドラマとしては最高記録。これだけの視聴率を上げ、なおかつ面白かった理由を検証してみたい。

『篤姫』は歴史ドラマであるが、同時にホームドラマでもあり、純愛ドラマであった。このため、歴史ドラマにあまり親近感を感じなかった女性層にも支持が高く、これが結果的に高視聴率につながった。なかでも、女性の心をくすぐるともいうべき、一途な恋心をいくつも描いた。小松帯刀の篤姫に対する想い、篤姫の家定に対する想い、和宮の家茂に対する想いは、メロドラマを王道を行くような描き方であった。一方で、篤姫の生き方は男ばかり表舞台の政治にも口を出しているところがあり、言わばキャリアウーマン的でもあり、この辺に共感を得た女性も多かったのではないだろうか。

主役の宮崎あおいは、朝の連続テレビ小説『純情きらり』を演じていたことから、年配の女性視聴者には下地として親近感があったことも大きかった。また、彼女は大河史上最年少主演ということもあってか、これまで大河ドラマをほとんど観ていなかった20代女性という新しい視聴者層も開拓した。このとこについては、佐野元彦プロデューサーが記者会見で「従来の大河ドラマ以上に女性の支持が高く、中でも20代の女性から、かつての大河ドラマになかった高い支持を得た」と語っている。

とここらあたりまでは、どんな新聞や週刊誌でも書くであろう。さて、ここからは独断と偏見の私見である。

今回のドラマで篤姫と共に小松帯刀が大いにクローズアップされた。帯刀はその名前こそ知られていたものの、これまで歴史ドラマにほとんど登場することがなかった。そんな彼が脚光を浴びたことは、昔歴史少年だったおじさん視聴者には新鮮だったに違いない。また、その帯刀を水々しく演じた暎太の好演ぶりもそれを見事にフォローしていた。

出演者ではやはり女優陣の健闘が光った。宮崎あおいの演技は言うにおよばないが、その脇を支える女優陣の演技も誰もがその役を勉強しているようで見事にその様を演じていた。樋口可南子、真野響子、松坂慶子、稲森いずみ、高畑淳子、中島朋子と登場する女優さんたちの演技がそれぞれ個性豊かでその役柄を見事に際立たせていた。そして、こうした脇役のために脚本の田淵久美子は大事なセリフをいくつも用意していた。こうなると、脇役といども役者冥利にもつき、女優さんは頑張り誰もが光り輝いていた。

そして、最も秘めたる理由はジャニーズ系の役者を器用しなかったことではないだろうか。ジャニーズ系が出てくると、どうしても芝居の足腰が妙に軽くなってしまい、浮わついた感じになってしまう。『新選組』や『義経』などが良い例である。できれば、今後も大河ドラマにはジャニーズ系を主要キャストには起用しないほうがいいのではないだろうか。

来年は妻夫木聡による『天地人』、再来年は福山雅治による『龍馬伝』とイケメン風大河が続くが、またいつの日か『篤姫』のような大河ドラマを観たいものである。

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