昨日(8日)は江戸東京博物館小ホールで開かれた「林家たま平独演会」を聞きに行った。林家たま平は林家正蔵の長男。テレビドラマ『ノーサイド』でスクラムハーフの佐々一(ささ・はじめ)役を好演したことで有名になった。そんなたま平を初めて聞いたのは彼がまだ前座のときで、私はその上手さに舌を巻いたほどだった。あれから5年。二ツ目になった彼がどれぐらい成長したのかを楽しみにしていた。演目と出演者は下記の通り。
林家たま平 『禁酒番屋』
林家たま平 『反対俥』
〜 仲入り 〜
林家たま平 『妾馬』
『禁酒番屋』はネタ下ろししたばかりで、まだ粗さが目立った。たま平は滑舌はいいし、落語の基本中の基本である所作、仕草、地語りなどは、おそらくこの世代ではかなり上手い人だと思う。それゆえに、番屋の役人が徐々に酔っていく様は巧みに演じる。だが、何か物足りない。それは心理描写なのか情景描写なのか、それとも話の抑揚なのか・・・。
柳家喬太郎に習ったという『反対俥』はとてもハツラツとしていた。車夫が人力車に担ぎ上げられる様、早いスピードでかける車夫の様、そして乗っている客の様など、他の落語家ではできない豪快な演じ方をする。ただ、ここでもスピード感はあるが臨場感が見えてこない。これは若さなのかもしれないが・・・。
これまでに何人もの落語家の『妾馬』を聴いてきたが、たま平の『妾馬』は殿様が際立つ。このことにより、八五郎と殿様の会話がはっきりするのだが、全体に漂う人情噺の空気感が少し薄れてしまう。『禁酒番屋』にしろ『反対俥』にしろ、そして『妾馬』にしろ、登場人物は男ばかりである。今後は女性が出る噺をどんどん取得して芸域を広げていってもらいたい。
最後に余談だが、マクラや噺の合間に幾つかの小咄を披露したが、これがなんともはや祖父の初代林家三平譲りで馬鹿馬鹿しかった。あれで「どうもすみません」とか「よしこさん」と入れられたら、三平を知っている世代にはバカ受けだったかもしれない。(^_^)
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